引き継いだ家庭教師先で出会った美しい母親[第2話]
〔体験談投稿者:Small Stone River 様〕
家庭教師をやっている生徒が部活の合宿から帰るまでの3日間、俺はそのまま母親とマンションの部屋で過ごした。
「ふう~・・・先生、あたしヘトヘトだよ・・・あたしエッチなんだな・・・っていうか、自分がこんなにエッチだったのが意外だよ・・・」
「誰だって多かれ少なかれエッチなんだから、意外ではないんじゃ・・・」
「あたし若い時だってこんなには・・・いや、だから、何言ってんだろ、別にそんなに欲しくなかった気がしたのは錯覚だね、うん、錯覚。好きな人に触れてたいんだから別に・・・」
「そう思う気持ちがエッチだっていうなら、エッチでいいですよ」
「マリコ帰ってきたら、こんな風にしていられないね・・・セックスして、寝て、だけでもお腹は空くね、朝ごはん作ろう」
料理の段取りと手際と味覚の良い母親の作る物は本当に、あっという間に魔法のようにできあがってゆく。
そして美味しい。
「あっ、あっちっち」
そんな声が聞こえると裸のまま魚肉ソーセージと玉葱を卵で絡めて炒めている。
「そうか、ハダカだしね。こういう時こそエプロン」
そう一人で言うとシンク下の収納からエプロンを出し、首にかけ後ろに結んだ。
「そうか、裸エプロンってこういうことだね先生。意外と実用性が高かったんだね。自分の人生で裸でエプロンつける日が来るなんて・・・アッハッハ・・・おかしい、あしたは裸ワイシャツかな」
「料理するならパンツとブラジャーよりエプロンですね・・・」
後ろから近づく。
エプロンだけだから脱がす物も捲るものもない。
母親の脚と脚の間から前に手を回してクリトリスに触れる。
「あっ、もう、ごはん作ってる最中なんだからやめて・・・あぶないよ、油がはねるから・・・あ・・・」
右手を前にまわして掌でオッパイをつかむ。
少し力を入れて乳首を指で挟む。
「あっ・・・先生ちょっと・・・力強いよ・・・あ・・・」
左手でクリトリスを摩り、膣口に中指を差し込んで中の上側の感触を確かめてGスポットの場所を探した。
男性週刊誌などで与太話っぽく書かれることが当時もあったが、俺はその知識を得る前に“何かある”というのを経験から偶然知っていた。
多かれ少なかれ、誰にもあるのも確かめた(笑)
母親も膣口から少し中、中指の3分の2くらい入ったあたりの上側の感触でそうだと判った。
中指を差し込んだまま掌を180度回転させ指の腹でゆっくりと往復する。
母親は料理の手を止め断続的にぎゅっと腹筋に力を入れ目を瞑っている。
「ああ・・・それ・・・いいよ・・・」
乳首を摘んでいた手を下に戻しクリトリスを擦る。
右手の指と左手の指の位置で、クリトリスとGスポットの場所が意外と近いのがわかる。
「あ・・・あー、出ちゃう、先生、トイレ連れてって・・・おしっこしたい・・・あっ、火、止めなきゃ」
このへんはさすが、女性はたいしたものだと思う。
マンションによくある、窓のない、奥行きがギリギリのトイレだ。
奥行きもそうだが、手前も余裕はない。
身長2メートルくらいの外国人がこのトイレを使ったら膝がつかえるからドアを開けておくしかないだろう。
洋式便器が普及して一番喜んだのはトイレを狭く作って他の面積を稼げる住宅と建設業者ではないだろうか。
裸のままの母親が座って、俺はその前にしゃがんで向き合った。
ドアを閉めさせない。
「いじわる、もう、どうしてそうイジワルで、エッチなの。これでもあたし、死にそうなくらい恥ずかしいのに、こんな年恰好のあたしがオシッコするところ見たいの?先生・・・」
便座に座る母親の脚を開かせ、今度は正面から膣に指を入れる。
空いた手で左のオッパイをゆっくり、掴みながらキスをする。
台所に立って料理をしていた時よりはるかに濡れている。
中に入れる指を中指、薬指と増やして、上向きにカギのようにゆっくり曲げて手前に戻すと溢れた体液が指の付け根に溜まる。
「あ・・・出る・・・おしっこ・・・出るよ・・・出していい?」
「いいよ」
「・・・出ちゃう・・・あっ」
尿道口からピュッ、ピュッと短い間隔で潮を吹く。
「あっ・・・出る・・・また出るよ・・・先生・・・これ・・・オシッコだからね・・・オシッコだよ・・・」
「違うよ」
「・・・なんだか・・・出る感じが違う・・・勝手に出ちゃう・・・これ何?」
「潮吹きっていうのかな」
「・・・もう・・・AVみたい・・・そんなに、AV知らないけどw・・・あっ、また出る、また出るよ・・・」
「いいよ、出して」
今度はピューっと、上に向けた掌に押される感触がわかるほど強く熱い液が当たった。
「あ・・・その、中の、上・・・感じる・・・あっ・・・」
膣壁がフワっと広がる感触が指に伝わった。
それがまたすぐ縮み、空気が漏れる音がした。
「あ・・・また音がするの恥ずかしい・・・あ、イク・・・」
母親はボクサーの構えのように拳を握っていた両手を懇願するような形で前に出し、胸の前で組んでそこに顎をつけた。
「イク・・・」
同時に強い勢いでさらに潮を吹いた。
今度は俺の左掌に当たって跳ね、雫も飛んだ。
「あ・・・もうヤだ・・・まったくもう・・・床、先生拭いてよね!」
トイレのドアは開けたままだけど、“女の匂い”がしている。
俺は実は冷蔵庫にあった、もう一本の魚肉ソーセージを隠し持っていた(笑)
魚肉ソーセージは俺の大好物で、『一人暮らしの男子学生の友』と言いたい。
どんな味付けでもいいし、そのままで食べてもおいしい。
俺はよく魚肉ソーセージを賽の目に切ったのと、ミックスベジタブル、サラダ油、みりん、しょうゆ、酒、砂糖、贅沢な時はまぐろフレーク缶詰で炊き込みご飯を作る。
自分で言うのもなんだが旨い。
まだ便座に座ったままの母親にキスをしながら、あらかじめ密かにビニールを剥いておいた魚肉ソーセージを気取られぬように膣口に宛てがい、ひと息に挿入する。
「あっ、あっ・・・これ何・・・あっ、冷蔵庫にあったのでしょ、もう、やめて!食べられなくなっちゃうじゃない先生バカ!あっ・・・そんな奥・・・あっ・・・」
入る勢いと出る勢いで、さらに膣内がなめらかに、体液が溢れてきているのがわかる。
俺はイジワルをするつもりはないけど、母親は“自分がエッチな反応をしてしまう”ことで、さらに自分が昂るタイプなのはもう判ってしまった(笑)
オチンチンと違い、腰の動きが必要じゃないぶん、人間では到底ムリな速さで抜き挿しできる。
「ああイヤっ・・・イヤだって・・・やめて・・・抜いて・・・先生いじわる・・・あー、あっ・・・」
「俺のこと好き?」
「すき・・・だよ・・・好き・・・に決まってる・・・じゃない、あ、イク・・・」
魂が消え入るかと思うような、最後は力が全部抜けきったような息遣いで母親はビクッ、ビクッと上半身を仰け反らせ、跳ねた。
今度は尿道口から切れ目なくオシッコがものすごい勢いで迸った。
便座に座っていなかったら噴水か散水栓みたいだったろう。
母親は潤んだ目で俺を見た。
「先生・・・もう、どうしてくれようか。このアタシが・・・この年でこんな・・・もうダメだよ、どうしよう、先生いなくなったら・・・」
「いますよ」
「いつか、いなくなっちゃうでしょ、あたしなんか置いて」
見ると両目にいっぱいの涙が溜まっている。
「置いてなんかいかないですってば」
「抱き締めてよ、一緒にいるときは抱き締めて・・・切ないよ・・・ぎゅって、抱き締めて」
母親は子供のように、本当に「えーん、えーん」と泣いた。
俺は立膝で開いたトイレのドアの前に座り、ずっと彼女を抱き締めて背中をさすっていた。
母親の作りかけだった炒め物のおいしそうな匂いだけするが、実際何も食べていない。
お腹が空いた俺は母親の膣の中でほんのり人肌に温まったソーセージをそのまま食べた。
「もう、食べ物で遊んで!全部、先生食べなさいね。あたしイヤだからね」
「もう食べちゃった」
そう答えると母親はケラケラ笑った。
「あたしの味する?今日だけ特別だよ。またやったら承知しないからね」
ずいぶん長い時間トイレで過ごした気もするが、やっと居間に戻って途中までだった料理を終えて食べた。
「先生・・・ひどいね。あたしがイヤって言えないのが楽しいんでしょ・・・?」
「楽しいだなんて・・・ヒサコさんが好きだからエッチなヒサコさんも好きなだけ・・・」
「本当?」
「本当」
「じゃあオチンチンもちょうだい。さっきのソーセージでずっとヘンな感じのままなんだよ、責任とってよ」
母親は挑戦的な目つきで俺の前に立ち塞がった。
Aラインのシアサッカー、水色に正弦波のデザインが描かれたワンピースがよく似合う。
「そこで、手脚、床について」
テレビの前のラグに母親は無言で、床に這う姿勢になる。
下着をつけていないから、捲るだけで形のいいお尻がそのままに出る。
彼女の後ろから背中を抑え、お尻が一番高い位置になるようにして後ろから挿入した。
「ああ・・・いい・・・オチンチン・・・ああ・・・気持ちいい・・・好き・・・先生大好き・・・たくさんして・・・先生のセックス好き・・・精子もちょうだい」
「ごはん食べた後なのに、精子も飲みたいの?」
「うん。でもね、今日はね、あたしの子宮で飲むの。そのまま射精してくれる?」
「いいの?大丈夫なの?」
「大丈夫。そのまま出して。先生の精子、たくさんちょうだい。全部くれないとダメだよ」
膣内射精して欲しいと言われ、俺はわざと挿入と抜去のスピードをあげた。
自分の射精感の昂りをコントロールしないで勢いよく打ちつけた。
「ああ・・・すごいよ先生・・・力が強い・・・あたし壊れそうだよ・・・メチャクチャにされてる・・・オチンチン突き刺して・・・オチンチンで突き殺して・・・あ、イク・・・イク・・・」
俺も同じタイミングで跳ねた。
一番深く入る瞬間に精液を注ぎこんだ。
自分でも意外なほどの量だった。
精液と母親の体液がまざったものが母親の膣の圧で溢れてくる。
「ああ・・・中に・・・わかる・・・オマンコが・・・子宮が喜んでるの・・・あたしの子宮が先生の精子飲んでる・・・オイシイって・・・いっぱい飲むんだよ・・・先生の精子・・・」
母親は目を閉じたまま、ゆっくり息をしていた。
膣口から溢れて流れる液が糸のようにゆっくり落ちる。
「先生・・・駅にマリコ迎えに行ってきて・・・おねがい・・・あたし、歩けない・・・」
児童生徒学生は夏休み(笑)だが、社会人はお盆休み以外はカレンダーの通りだ。
合宿の最終日は親たちの都合などを考え、日曜日にするのが通例だそうだ。
俺は母親のクルマで駅に向かった。
マンションの最寄り駅は各駅停車しか停まらないので、少し遠いけど娘は急行の停車駅で降りる。
手っ取り早いのでクルマで送迎できる近隣の住民はそうする人が多かった。
俺は駅の時刻表を何度も確かめた。
思えば携帯もネットもスマホもない時代、『時間』と『場所』の約束は文字通り真剣勝負だった。
一旦家を出れば後は時計を頼りにとにかく『決まった時間』と『決めた場所』に行く以外ない。
デートも必死だ。
それだけ『待ち合わせ場所』や、『目印』『時間』は重要なものだった。
行き違いは、それこそ『永遠の別れ』に直結する時さえあった。
若いときから“危機管理”を身をもって覚えたのだ。
当然、誰もが何度も痛い思いをし、痛恨の大失敗もして、そして大人になった、と思う(笑)
そして何より、『約束』は、とても重いものだった。
遅れても迷っても、すぐ簡単に連絡できる時代の約束は薄っぺらになった。
『ドタキャン』が許されるのは、「ああ、そう」で済んでしまうからだ。
想いを寄せる女の子の家に電話して、家族が出たら名前を名乗り、相手がいるかいないか尋ね、用件を伝え、電話に出てもらうまでのあの緊張と期待はもう、伝えようとしても伝わらない。
俺は駅前のロータリー近くのコインパーキングにクルマを停めた。
ここは橋上駅なので電車がホームに入ってくるのを見てから改札へ歩く。
ソフトボールや野球は道具が多く荷物がかさ張る。
両手に大きなバッグを持ってリュックを背負い、えっちらおっちら歩いてくる娘が俺を見つけ、すぐに「せんせーい!」と大声を出し、手を振った。
このあたりはいかにも運動部らしくて微笑ましい。
改札を出た娘が一瞬、俺の頭上というか、正面から俺を見てはいるのだが、なにか目のピントが俺ではなく無限遠の遠くに合っているような、俺の身体を素通しでその後ろを見ている、そんな眼差しになった。
「お帰りなさい、疲れたでしょ、俺一人で来たんだけどお母さんは・・・」
「服のセールでしょ、判ってるって。ママはバーゲンとセールに命かけてるからね。ホント」
「命がけで服は買わないでしょ、そんな・・・」
「先生、知らないのも当然だけど、ママね、昔、西口のナノカドーのバーゲンで大立ち回りしたんだよ」
「立ち回り・・・」
「あたしの小学校の同級生のね、ママもすごく仲のいいお母さんと気に入ったブラウスの取り合いになってさ、『このブラウス持って帰るならアタシを殺してから行け!』って掴み合いの騒ぎになって、もう、男の店員さんに二人ともどうにかやっと引き離されたんだって。あたしもしその場にいたら恥ずかしくて死んでたと思う。そのときまだ生きてたパパね、やっぱり向こうのお父さんと釣りとか行くくらい仲よくて、二人で『なんなんだコイツら・・・』って呆れて頭抱えてたんだよ、3日くらいでケロっとして二人でゲラゲラ笑って立ち話とかしてるからもうあたしも呆れてさー」
「はあ・・・話に尾ヒレがついてる気もするけど、女性は大変だね、色々と」
「ねえ、ところで先生、ちょっと大事な話ある、っていうか大事なこと訊きたいんだけど!」
俺は“来た”と思った。
母親も言っていたし、どっちみち話すことになるだろうけど、いきなりだ。
(訊かれた通り、正直に答えるのがいい)
俺はそう覚悟した。
「その前に、ねえ先生、合宿中はお菓子禁止、間食禁止、炭酸禁止だったからあたしもう死にそう。思いっきり甘いものをたくさん食べたい。お願い。3年生なんて『今あたしにガボンチョコ1枚くれる人いたら、パンツくらいなら見せてあげてもいい』『あたし1枚で片乳、2枚なら両乳見せてあげてもいい』『じゃああたしガボンチョコ3枚とガミガミ君で今履いてるパンツと交換でもいい』ってもう人生観まで変わっちゃって、目も当てられなかったよ」
「・・・安すぎますね」
2人で駅前のロータリーから道ひとつ入った所にある『インスマウス』という喫茶店に入った。
ここはバケツと見紛うような容れ物でパフェやサンデーを出し、花瓶と間違えるような大きいグラスで出てくるフロートのメニューは、ディッシャーで掬った球のアイスが2個浮いていることでも有名で、若者客でいつも混んでいた。
温厚な店主は、格闘技物を得意とするマンガ家の描いた『猫』が主人公の作品に出てくる『ジェシィ』というキャラクターに似ているため、「ジェシィ」と呼ばれていたが、俺はどちらかというとナポレオンフィッシュに似ているなと以前から思っていた。
そのジェシィの運んできた、娘のぶんのチョコレートサンデー、コーヒーゼリーとプリン、そしてミックスサンド、俺のエビグラタンと卵サラダが揃うと娘は、「やったー、やったー、コレが食べたかったの・・・生きててよかった」と泣いて涙を拭く小芝居をひと通り演じた。
俺がつい油断していると・・・。
「さて、先生、本題だけど、どうして先生がママ連れてきてるの?」
と、妙なことを言った。
「お母さん・・・って、来てないでしょ、クルマ預かって俺一人で運転してきたし・・・そもそもお母さん服のバーゲンだってマリコさん自分でも言って・・・」
「だーかーらー、それは生身のママでしょ。そんなの解ってるよ」
「生身・・・」
「もう、仕方ないね。あのね、先生、ママが先生の後ろにガッチリしがみついてるの。これ、ちょっとやそっとじゃ離れないよ。先生はわかんないんでしょ」
「わからない・・・」
(そういうことか・・・)と俺は心の中で思った。
「マリコには内緒にしても判ると思う」
母親はそう言っていたが、これでは内緒にするほうが無理と言うものだ。
「ママさ、『先生にはあたし達、ちょっと違う感じ方がある、って話すよ』って合宿行く前に言ってた。だから聞いたんでしょ。あたしとっくの昔に知ってたのかと思ってたけど」
「ああ・・・そのことは・・・聞いてはいるけど、自分ではそういうのは全然、わからないから、でも疑ってるわけでは・・・」
「あのね先生、信じても信じなくてもいい。どっちみち説明できないんだよ。ただね、ママがしっかり先生にくっついてるっていうことは、ママは先生が大好きなの。それでね」
娘は俺の目を見て言った。
「先生も同じくらい、ママを好きじゃなきゃ、先生にくっついてるママは見えないんだよ。そういうこと。ね、そうでしょ」
「・・・そうです」
「ママのこと、好き?」
「大好きです」
「えへへ・・・なんか・・・わかってたけど、ちょっと嬉しいな。うん。嬉しい」
娘は顔では笑っていたが目は真剣だった。
「さあ、食ーべよ。このために部活やってるようなもんだ」
ものすごい勢いで目の前で食べ物の量が減ってゆく。
まるで早送りで見ているようだった。
日焼けしている顔は真っ黒だけど、母親に似て黒目がちで鼻筋が通っていて、『メアリー・エリザベス・マストラントニオ』という長い名前の女優さんに似ている。
俺は『ホワイトサンズ』というサスペンス映画に、ものすごくコワイ役で出ていたこの女優さんが好きだった。
「ねえ先生、ママのさ、顔のパーツだったら、どれが好き?」
「目です」
「目ぇ?ママはあんまし、好きじゃないみたいだよ。SF映画の、未知とのナントカっていう映画の最後に出てくる、宇宙人の目に似てるって職場でむかし言われたってメチャクチャ不機嫌だった」
「お母さんは若くて綺麗だから、妬んでそう言うんですよ。きっと黒目がちで切れ長で、外国の女優さんみたいでしょ。その外国じゃ『クレオパトラの眼』って言って、褒め言葉なんですよ」
「ママにそう言ってあげた?」
「・・・言ってません」
「ダメじゃん、先生がそう言いなよ。ママ喜ぶよ。先生がね、ママの服とか褒めると、次の週くらいまでずっと機嫌がいいからあたし、すごい助かるの」
「はあ・・・じゃあ、次は言ってみますね」
「じゃあさ、ママには言わないから、ママの体のパーツだったら?」
「お尻です」
「アハハハハ。なんの迷いもなく言うの。でもママのお尻、あたしも好きなんだ。・・・ねえ先生、ママとさ・・・『仲良し』したんでしょ・・・?」
『仲良し』の話は母親から聞いていた。
その昔、夫婦、つまり両親のセックスをある日、娘が見た。
想定外ではあったけど、見られたら見られたで仕方がない。
それを機にちゃんと「これは『仲良し』で、お父さんがお母さんを大好きで、お母さんがお父さんを大好きで、そういう二人が『仲良し』になることだよ」と教えた。
だから言葉は『仲良し』なのだ。
「それは、言いません」
「どうして。悪いこととかハズカシイことじゃないんでしょ」
「大好きだから、言葉では言わないこともあるんです」
「・・・。うん・・・」
娘は少しの間、食べる手を休め黙っていた。
「ママね、先生が来てくれた最初の頃ね・・・勉強終わって先生が帰ると機嫌が悪くなるの。すごくつまんなそうで、一人でムシャクシャしてるみたいな・・・でね、そのあとママ、泣いてるの。『なんで泣いてんの?』って訊いても『先生、帰っちゃったね・・・』って涙拭いてるから『そりゃ帰るよ、勉強終わったんだから。どうしてそれで泣くの?』『だって、寂しいんだもーん』って・・・」
「そんなこと、あったんですか」
「『すぐまた来週来るよ、来週!』って言ってやったらさ、『あんた、女のくせにわかんないの?好きな人が隣の部屋に行っちゃっだだけでも寂しいんだよ!』って。ママ先生が好きなんだな、ってわかった」
「ふうん・・・」
娘は真剣な顔になった。
「先生、あたしもママも、先生大好きなの。でもね先生、あたしからママ取らないで・・・ママとどこかに行っちゃわないで・・・」
いきなり、ポロポロ涙をこぼした。
「あたし、ママと二人だから・・・大人になれば別々になって、あたしの人生だけど・・・今はまだママと一緒にいたい。あたしママも大好きなの・・・」
「約束しますよ」
「・・・うん・・・」
娘は涙を拭き、ハナを噛み、また涙を拭き、それでも食べ続けた。
カウンターの向こうのジェシィが優しい目でそっと見ているような気もした。
「先生、卵サラダなのにゆで卵食べないならあたし食べていい?」
「いいですよ、食べて」
「あーん、ってしてよ。先生、お箸の持ち方が綺麗だからママが褒めてたよ」
俺が褒められても、母親も娘も、揃って箸遣いの所作はきれいだ。
ふとしたところを他人は見ているものだなと思った。
俺は『喫茶店インスマウス』のロゴが入った箸袋から割り箸を出し、ゆで卵の黄身が落ちないように、そっと挟んで娘の口の前に出す。
「あー・・・」ん、を言う前に瞬時にゆで卵は魔法のように、娘の口の中に消えた。
<続く>