幼馴染の同級生の母親と[中編]

Hな体験

〔体験談投稿者:Small Stone River 様〕

大学生活も2年目になり、それなりに日常も学生らしい日々になった。
帰省するような故郷や実家のない俺は、長い休みには高校までの地元の街で幼馴染のKの家に寄らせてもらい、何日か過ごしたりしていた。

Kは小さい頃からアタマが良くて勉強もできて、工学系の学科なので授業のコマは多いし、朝からずっと実験とやらで帰宅も遅い日ばかりだった。
よくある“メガネのヒョロヒョロの秀才が学問や研究に打ち込む理数系”のイメージが実像とかけ離れたものだというのを俺は身をもって知った(示したのは俺じゃなくKだが)。
理科学の学問は知力はもちろん、体力もいるのだ(笑)

そんなKが、「Mちゃん、僕、免許取ったし、父ちゃんの乗ってたクルマで海行かない?」と、俺にとっては驚天動地のことを言い出した。

「いいけど・・・海?お前海行きたいの?変われば変わるもんだね。クルマの免許の時点でビックリしたけど・・・」

小学校のとき、夏の体育は何回かは水泳の授業になる。
俺は学年で一番泳げたが、Kはまったく泳げない。
かと言って、水を怖がるわけでもない。
これが一番危ないのだ。

Kは当時は水泳の授業でよくやっていた、“先生が水の底に撒いた碁石を拾うヤツ”で、拾うのに夢中になりすぎて息が詰まった。

イヤな感じの浮かび方でぷかぁと顔を水の底に向けたまま背中が浮いてきたKを見て、俺は即座に危ないと察し、すぐに水泳帽と髪の毛を引っ張ってKの鼻と口を水面から上に出すと大声で先生を呼んだ。
今もKが生きてこの世にいるのは俺の機転のおかげでもある。

大事には至らなかったが、Kは保健室に運ばれ、学校から呼ばれたKの母ちゃんは自転車を競輪選手のように鬼の形相で漕いですっ飛んできた。
事情を聞いた母ちゃんは一緒に保健室にいた俺を抱き締めて泣きながら、「ありがと、ありがと」と言い続けた。
俺はKの母ちゃんの涙と鼻水を拭くわけにもいかず、じっと立っていた。
Kはというと、母ちゃんに小突かれながらブツブツ「あと3個拾えばクラスで1番・・・」と言いかけてさらに小突かれていた。

そんな男が海に行きたいのだそうだ。

すかさずKの母ちゃんが話に割って入った。

「へへへ、Kね、海の家でアルバイトするんだってさ。なんでかって言うと・・・」

「あー、黙っててよ母ちゃん!」

「大学の好きな女の子がね、その近くにお母さんの実家があって夏はそこにいるんだよ。だから・・・」

「だからじゃないよ。うるさいよ。いいじゃん、真面目に働くんだから」

そういうわけか。
それが前に聞き及んだ「自動車部の女子学生」なのかもしれない。

俺は根掘り葉掘りは訊かないけど、Kがそんなに活き活きと夢中になるのもそれは面白い。

「じゃあ・・・1週間かそこら、場合によってはもっと住み込みで働くんでしょ?俺はどうすんの?」

「それで・・・頼みたいのは・・・」

「一緒に行って、俺はとっとと居なくなって、終わる日に迎えに来てくれって言うんだろ」

「そうだけど、わかった?」

「わからないヤツがいたらマヌケだよ。わかった。この家に居させてもらう恩もあるしね」

「助かるよ、ありがとう」

そんなわけで、海の家開業と海開きに合わせ、亡くなったKの父ちゃんが大切にしていた小さい水色のクルマで海に向かうことになった。

するとKの母ちゃんが、「あたしも行く。連れていかないならクルマのカギ、あたし飲み込んでやるからね」と言い出した。

「なんで・・・Mちゃんと俺で行くって・・・」

と、Kはあからさまにイヤな顔をしたが・・・。

「ダメ。あたし連れてかないならテコでも動かない。連れてってくれないならクルマの前で大の字に寝て轢かれて死んでやる。さあ殺せ!」

Kの母ちゃんは落語が好きで、たまに日常が落語の登場人物のセリフみたいになるのだ。
PTAの真面目な集まりでうっかり「するってえと」と言ってしまい笑われた話は俺の母親まで知っていた。

「K、いいじゃんか。3人で行こうよ。お前の邪魔しないで半日ほど甲羅干しでもしたら帰るからさ」

「あ、そう?じゃあ頼むね、帰り、迎えに来てもらう日はまた電話するから」

Kはすでに浮かれている。
こういう時のクルマの運転は危ないのだ。
Kまで事故で何かあったらシャレにならない。

3人で海に向かうクルマの中では小さい頃からの思い出話や幼稚園から高校までの色んな同級生のウワサ話から消息から、爆笑したり感心したり、難病で若くして亡くなった級友の話でシンミリしたり。
Kの母ちゃんは後ろの席でお菓子やお煎餅をバクバク食べ、缶ビールを飲んでかわりばんこに俺とKの首を後ろから絞めたり、両手でオトコ2名の右肩左肩にぶら下がり楽しそうだった。
こんなにずっと楽しそうなKの母ちゃんはあまり見た記憶がない。
ふっと窓から入る風に海の匂いが感じられると目的地も近かった。

海の家はKの通う学部の先輩からの伝手らしい。
もう顔見知りらしい数人がいて、Kは荷物を持って「じゃあね」と言って『従業員』の部屋に行ってしまった。

Kの母ちゃんは「母としてちゃんとお店の人に挨拶・・・」と言ったが、「おばちゃん、いいんだよ。もう一人で。Kならちゃんとやるだろうからさ」と引き留めた。

平日だし海に人が多く出てくるのはもう1週間か10日ほど後からだろう。
海水浴場に人はいるにはいるが、空いていた。

脚の長い脚立のような椅子に座って監視員の人が遠くを眺めていた。

「へーんだ、Kったら親の恩も何もないね。この母親のあたしに焼きそばくらい作って・・・」

「おばちゃん、いいんだよ、俺からしたら信じられないくらい変わったよ、Kは。終わって帰ってきたら別人みたいかもよ」

「なんだっていいよ。Mちゃん、せっかく来たし海に入ろうよ。何年ぶりかな~」

俺たちはあえて別の海の家の更衣室を借りて水着になった。

Kの母ちゃんは、「あたし全然平気だから、そのへんの往来で着替える」と言いだしたので、俺は黙って彼女を更衣室に押し込んだ。

おばちゃんは紺のビキニだった。
下着も裸も見たけど、水着というのは初めてだ。
ビキニは下着のパンツとブラジャーと同じで、またはそれより狭い面積だけど、下着と違ってカッコいい。

「おばちゃん、カッコいいね。似合うよ」

俺がそう言うと、おばちゃんは小声で・・・。

「えへへ。絶対いっしょに海行くって決めたから買ってきたの。似合うって言ってくれるかなって。嬉しいな」

普通、自分より20歳以上年上の女性と海に来たってどういう風に映るんだろう。
俺はそういうことをまったく気にしない、というか何とも思わないので手を繋いだり腕を組んで歩いた。
時たま「母ちゃんと息子?」みたいにジロジロ見る人もいたがどうでもよかった。
Kの母ちゃんは40歳を過ぎていても可愛かった。

「Mちゃん、泳ぎが達者なのに泳がないの?」

「達者かあ、古めかしい言葉を使うね。海まで来て泳がなくてもいいよ、まだちょっと水も冷たいしな」

それでも俺たちは手を繋いで膝上くらいまで海に入った。
少し波が来るとほんのちょっと腰が持ち上げられる感じで、また下がる。
Kの母ちゃんは俺の後ろにまわり両手を腰にまわして俺を盾にする格好にして波を避けた。

「あはは、面白い」

ぎゅっと俺の背中側に抱きつく。
そんなに大きくはないが、形のいいオッパイがビキニ越しだけど俺の肩甲骨の下にふたつ当たって圧される。

「昔の学生運動って、わかる?」

おばちゃんが水の中でなんの脈絡もないことを言う。

「機動隊ってのが大学に来てね、水かけるの。水鉄砲じゃないよ。もう、華厳の滝が真横になったみたいなスゴイ勢いなの。あたし父ちゃんの後ろに入ってこうやって腰にガッチリ手を回して、それで水を避けて、でも父ちゃんもあたしも水浸しだったな・・・。仲間の人に若いけどハゲちゃってたのがいてね、機動隊が面白がってそいつのアタマ目がけて水かけてくるのが判って、アタシおかしくて笑っちゃったら父ちゃんに『ナニ笑ってんだ!』って怒られた。そんなの20年以上前か・・・」

Kの母ちゃんが俺の前にまわした両腕にもっと力を入れてきつく締めてきた。

頭を横に向け、頬っぺたを俺の背中につけた。
俺の背中におばちゃんの目から流れた涙が伝った。
背中に温かい筋が流れた。

(おばちゃんは泣いているのか・・・)

「・・・おばちゃん、陸にあがろうよ、そろそろ帰ろう。今日は夜にM野で天ざる食べたいな。久しぶりに」

「・・・うん・・・」

おばちゃんのハナ声が小さく小さく聞こえた。

「おばちゃん、何か考えてるの?」

「ちょっとね。色々ね。父ちゃんのこととかね。Kもあたしのことなんかもう、うっちゃって、どこかの女の子のお尻追いかけるような年頃だし」

「お尻の方はまだ先かもよ、家にこもってるよりずっといいよ、Kなら大丈夫だよ」

「ありがと、Mちゃん。子供の頃からやさしい子だよ、あんたは・・・。来てよかったな。ね、あそこの入り江の根本のとこに高くなってる丘みたいなのあるでしょ、一番上まで階段で行けるんだよ。あそこに行ってみたい。ね、いいでしょ!」

「おばちゃん、なんで知ってるの?ここ、来たことあるの?」

「父ちゃんと来た。面白いから場所を聞いた時もKには黙ってたの。記憶もあやふやだけど、Kが働いてる海の家、父ちゃんとオデン食べたのと同じ店かもしれない。なんの因果が巡るんだか」

「・・・じゃあ、そこまで登ろうよ」

俺は少し赤い目のおばちゃんと手を繋いで歩きだした。
おばちゃんは水着のビキニのまま、上にTシャツ、腰にパレオを巻いてそのままだった。

えっちらおっちら、階段というか石段を登りきると石垣をぐるりと組んだ小さい展望台に出た。

「へえー、意外と高くまで登ってきたね」

おばちゃんは遠くを見て黙っている。

「どうしたの?おばちゃん」

「ねえMちゃん、ウチに来たり、あたしと顔合わせるの・・・気まずい?」

「えっ、なんで?気まずいって、そんなわけないじゃん。そんな風に思ってたら来たりしないよ。どうしてそんな・・・」

「ウチに着いて何日もさ・・・なんだかそばに来てくれないし、Kとすぐ遊びに行っちゃうのは仕方ないけど、あたし二階で一人でいて、Mちゃん二階来てくれないかなって思ってたけど、下で二人してグーグー寝てるし・・・」

「おばちゃん、そんな風に思ってたの?だってKがいるんだよ。俺だって大学のある街にいて一人で『おばちゃんに会いたいな』って思ってたけど・・・。調子に乗ってトボケたらダメなのかもしれない、って自分に言い聞かせて・・・」

「Kがいてもいいじゃない、そばに来るくらい・・・。Kも『母ちゃん、Mが来るの連絡してきたらなんでそんなウキウキしてんの?』って笑うんだよ。あたし平気だから『Mちゃんが好きなんだもーん』って言ったらK、ゲラゲラ笑ってた」

「・・・わかったわかった。気まずくなんてないよ。俺もKがいるとちょっと、恥ずかしかったんだよ、子供の頃から一緒に育ってきたようなもんだから・・・」

「さっき海でね、背中にくっついてる時からずっとドキドキしてたの。抱きついてたとき前から波が来てフワって浮き上がったでしょ、あのとき・・・恥ずかしいけど濡れたの。今もすごい濡れてる。Mちゃん、触って・・・」

おばちゃんは正面から俺に抱きついてきた。

「誰か・・・来ないかな・・・?」

「あのね」

俺の顔を見上げた。

「みんな、海に来てるんだよ。石段昇りなんて滅多に来ないって。あ、昔あたし父ちゃんと、来たけどさ」

少し笑った。

俺はおばちゃんを抱き締めてキスした。
パレオをたくし上げて、ビキニのパンツの前から掌を下に入れて、おばちゃんの濃い毛を分けてクリトリスと小陰唇に触る。
もう溶けたバターかホットケーキの上にかけた蜂蜜みたいにおばちゃんの体液が溢れていた。

「触って・・・そこ・・・クリトリス・・・」

「クリトリスと、どこ?」

「オマンコ。オマンコに指挿れてちょうだい・・・中の・・・上側触って・・・」

キスしながら、触り続ける。
左手はお尻の線をなぞって下に向かわせて、行き場がなく後ろまでまわりこんで濡れている液を中指と薬指に滴らせてから、中指の腹でゆっくり肛門の周囲をなぞる。

「ねえ、おばちゃん、ここの力抜いて。お尻の力、ね」

「あ・・・そこに・・・あっ・・・そこに挿れるの?あっ、だめ、止めて・・・あたしでも恥ずかしい」

「だめ。止めないよ」

左掌の中指をゆっくり肛門に差し込んでゆく。
右手の中指は膣口から入り、直腸のあたりで左右の中指の感触がお互いに触れる位置がわかる。
そのまま、右と左の中指の腹を擦り合わせるようにゆっくり、回転させる。
おばちゃんは言葉を出さずしゃくりあげるように息も不規則だ。

「あ・・・いいよ。オマンコの奥で当たるの、お尻から来た指が・・・あ・・・ああどうしよう、イキそう・・・あ・・・ああイク・・・イクよ・・・あっ、どうしよう」

おばちゃんは俺の両肩に前から回した両腕でぶらさがるように脱力し倒れそうになる。
俺は膣とアナルにそれぞれ中指を入れたまま、まるで跨がるような体勢のおばちゃんをしっかり押さえて指の動きを止めない。

「あ・・・イク・・・」

小声でそれだけ言っておばちゃんはビクビクと跳ねた。
右手は中指を膣に深く差し込んだまま、掌は上を向いているが、あっという間にそこに温かい液がみるみる溜まり、掌から溢れて地面に滴った。
右手の、ちょうど脈をとる辺りに体液の飛沫がかかる。

「いや・・・これ・・・あっ・・・いや・・・出ちゃう・・・いやだったら・・・これ・・・あっ、また出ちゃう・・・」

おばちゃんのビーチサンダルの右脚と左脚の間にこぼれて落ちた体液の染みができた。
俺はゆっくり、膣と肛門から指を抜いておばちゃんにキスをした。

おばちゃんは呆けたような表情で、「出ちゃった・・・気持ちいい・・・まだ気持ちいい・・・」と呟いた。

体を一旦離し、椅子代わりにぐるりと一周している石垣におばちゃんの両手をつかせる。
頭を低くし、お尻を自分から持ち上げたおちゃんのビキニのパンツを膝まで下げ、片足ずつ抜く。
形のいいお尻がそのままむき出しになって、俺は一気に後ろからおばちゃんのオマンコに挿入した。
一息に根本まで差し込み、両手で腰骨のかかる辺りに手を添えてさらに奥に入るようお尻の位置を変えた。

おばちゃんはうめき声をあげて手を握り締めた。
亀頭ぎりぎりまで抜いて、また差し込む。

「あっ・・・あっ・・・ああっ・・・」

「おばちゃん、俺イキそうだよ。どうする?」

「中・・・に、そのまま出して・・・中・・・に・・・精子ちょうだい。オマンコに。欲しかったのMちゃんのオチンチン。精子もいっぱい欲しかったから出して」

「おばちゃん、赤ちゃんできたら困るでしょ、今日は、こうするよ」

俺はさっき指でさんざん刺激して和らげておいたおばちゃんの肛門にゆっくり差し込んだ。
膣のときと向きが変わるのでおばちゃんは弓なりに仰け反った。
おばちゃんの整った鼻筋が上を向いた。

「ああ・・・やっぱりそれするの・・・でも・・・いいよ・・・Mちゃんなら何されてもいい。どんなことされてもいいの・・・あ・・・そこ・・・そこでもいいから精子出して・・・あ・・・イク・・・お尻なのに・・・ああどうしよう・・・お尻・・・奥・・・気持ちいい・・・ああイク・・・イク!」

シャーッ、シャーッと勢いよく2回、またおばちゃんは潮を吹いた。
今度は手をついている石垣の縦の面まで当たって、下に流れた。

「おばちゃん、俺、お尻に出すね」

俺は勢いをもう一度つけて奥に突き立てるタイミングで射精した。
おばちゃんのお尻に跡がつくくらいの強さで掴んで、手前に引き寄せたら膣から空気が漏れる音が続いてした。

「あっ・・・あっ・・・もうヤだ・・・ヤだよMちゃん、これ・・・いくらあたしでも恥ずかしい、恥ずかしいよ・・・あっ・・・」

俺はおばちゃんから離れた。
向きを変えさせて抱きかかえキスした。
またおばちゃんは2回、3回とビクッと上半身を震わせながら俺に抱きついていた。

「体がバラバラになるかと思ったよ・・・Mちゃん・・・好きだよ。あたしどうしよう。Mちゃん・・・もう帰ろう。今日は一緒にいてね。この間みたいに一人にしないで・・・」

この間というのは、Kが半分徹夜の実験で大学にいたままの日、俺が別の友達とバイクの二人乗りで夜に峠道に行った時の話だ。

俺は、『あした朝帰るよ、友だちとバイクで遠出するから』とメモを書いて下駄箱の上に置いたつもりでKの家を出たが、メモを置くのを忘れてポケットに入れたままだった。

電話一本もせず翌日の昼前に帰ってくると、おばちゃんが般若のような形相で玄関に仁王立ちしていて、俺は横っ面を引っ叩かれた。
さすがの俺も“いきなりビンタはないだろう”と口答えしようとする前に、おばちゃんは俺に抱きついて泣きだした。

「バイクもないし・・・どこ行ってたの・・・。心配で一睡もできなかったよ。電話一本だってしてくれれば辛抱するのに。Mちゃんのバカ。Mちゃんに何かあったらあたし・・・もう父ちゃんだけでたくさん・・・」

俺は本当に悪いことをしたと思って黙って立っていた。
おばちゃんは気が済むまで泣いたらしく眉がグチャグチャに流れていたが、少し笑って、「昨日寝てないから今になって眠くなった。昼寝するから1時間したら起こして」と言って二階のおばちゃんの部屋にあがってしまった。
「昼寝」とは言っていたけど、おばちゃんがずっとすすり泣きしているのが聞こえていた。
女ってすごいなと俺は思った。

展望台から下る階段を下りながら、おばちゃんは俺をつっかえ棒にするみたく寄り添って歩いた。

「あっ・・・出てきた・・・。もう・・・ホント、イジワルだね。脚に力入らないよ・・・」

帰りのクルマは、おばちゃんが助手席だ。
おばちゃんの横顔を見ながら家に向かって俺は運転した。

「おばちゃん、子供の頃からなんにも変わってないね。綺麗でカワイイよね」

「本当に、アンタは面白いね。気負いもてらいもないから、スッと人の心に入ってくるの。モテるよ。覚悟しといたほうがいいよ」

「・・・モテるとか、どうでもいいや。俺、面倒くさがりだから」

「なんでよ。大学で同じ年代のカワイイ女の子と・・・」

「だからそれが面倒くさい。俺、一人でいいんだよ」

「自分くらい若い子とセックスしたいとか、思わないの?」

「セックスしたいのしたくないのって、セックスはどっちでもいいじゃん。好きな人のそばにいてくっつきたくなったら、そうなんじゃないの?」

「じゃあ、誰か好きなの?」

「おばちゃんだよ。そう言ってるじゃない。俺、おばちゃん好きでいいでしょ」

「・・・あのさ、あのさ・・・『なんでこんな、友達の母ちゃんなんかと、こんなババァとセックスなんてしちゃったんだろ』って・・・思って・・・」

「おばちゃん」

俺は信号が赤で停まっているからだけど、真左を向いてまっすぐおばちゃんの目を見た。

「俺、小さい頃からおばちゃん、大好きだったんだよ。今も大好きで、そんな大好きな人が年月経った今も身近にいてさ。そんな女性と自分が大人になって、まあ『大人初心者』だけど、初めてセックスしてくれた相手が小さい頃から大好きだった女性なんて、こんな幸せなことある?人生これから色々、どうせあるだろうけど、俺おばちゃんと初めてセックスしたこと一生、ああ幸せだったな、って思うよ。今だってそう思ってるよ」

信号が青になった。
おばちゃんは左、つまり俺の方を見ずソッポを向いているがずっと泣いていた。
ティッシュでハナをかんで涙を拭いて、そのティッシュを丸めたのを何度も俺に押し付けてきた。
俺はいちいち後ろのゴミ箱に捨てた。

「もう・・・ホントに・・・悪いヤツだよあんたは・・・あーあ、こんな齢になってこんな泣かされて・・・女子中学生だって今時分こんなんならないよ・・・」

「この俺だってほんの5、6年前はまだ中学生だよ」

「そうだったね。おとといくらいに感じるのに。なんだか20年くらい経った大人のアンタと一緒にいるみたい。不思議な子だよ、昔から・・・」

海沿いの道路は渋滞続きだ。
時間ばかり経っても数キロも進んでいない。
平日だって混んでいて、土日はもっと混むんだろう。

信号で停まるよりノロノロと停まることの方が多い。
停まったままなのに、信号は青で、停まったままその信号が赤になり、ずっと先までクルマの列が続くのが見えて少しウンザリして上を向くと、おばちゃんが真横を向いて俺に抱きついて俺の両頬を両手の掌で挟んでキスしてきた。

浮き輪を首から下げた子供たちとその母親らしき数人が横の歩道から俺たちを見て、一人が少し恥ずかしそうに俯いた。

もう一人は俺を見てニコリと笑った。

<続く>

Hな体験

Posted by Small Stone River