あたしの家族と家庭教師の先生[後編]

純愛・青春

〔体験談投稿者:Small Stone River 様〕

ママはね、下の名前に『マ』と『ミ』がつく。
『マスミ』とか『マナミ』とかさw
だからあたしはママのことを、少し縮めて「マミ」って呼んでた。
マミーでもあるしね。

そしたらババが、「あたし、◯サコだから、じゃあサコちゃんって呼んでよ」ってゲラゲラ笑っちゃったけど、短くてラクだから、「マミ」「サコちゃん」って言うのが定着した。
先生は「先生」か「Nさん」のままだったけど。

あたしの名前は頭文字なら『S』なんだけど、ほとんど100パーセント訓読みされちゃうんだけど、音読みの名前なんだ。
『月』はツキじゃなくてゲツ、『水』はミズじゃなくてスイみたいに。

サコちゃんのことはね、当時は「看護婦」って呼んでた。
今で言うところの「看護師」だったの。
当時中学生のあたしから見ても同世代の人の中じゃ背も高いし、高校まで剣道やってて背筋がスっと伸びててカッコいい。
オッパイは大きくないけど下がってないし、お尻も形がいい。
みんなで温泉に行って一緒にお風呂に入った時なんて、ちょっとドキっとするくらい色っぽいの。
県立の女子高に行ってた時はすごくモテたんだって、女子生徒に(笑)
宝塚的な感じ?
下駄箱にラブレターがゴソゴソいつも入ってて、サコちゃんは「言いたいことがあるなら直に来い!」って思って、封も開けずにまとめて捨ててたらしい。
女傑だね(笑)
着てる服もいつもカッコいいし、オシャレなのや可愛い下着もつけてた。
アメリカの女優さんの、メアリー・スティーンバージェンって人に似てる。
40歳になってからフラメンコ趣味で始めてからずっと続けてて、お稽古ごとの発表会とか、どうせ家族や内輪しか来ないの、あるでしょ。
サコちゃんは、他のフラメンコ教室や団体の人と公会堂借りてちゃんとした『ステージ』なの(笑)
それで、ママと私で「先生も一緒に行こうよ」って先生を誘ったら・・・。

「フラメンコですか・・・」って。

普段あんまり喜怒哀楽や表情は顔に出さない先生が、ちょっ楽しそうな顔で、「見たことないです。初めてです」って、一緒に行くことになった。

そしたらサコちゃんが、「先生、鳥の写真撮るときみたいにあたし達が踊るとき写真撮ってもらえない?生徒さんの家族とかが撮ってくれることもあるんだけど、悪いけどヘタでさぁ」って頼んだ。

「カメラ持っていきます。撮影する許可をもらっておいてください」とだけ先生は言った。

「鳥は空飛んだりするけど、あたし達はとりあえず地面にいるからさ」ってサコちゃんは笑った。

その発表会で先生はあたし達と並んで座って、客席から撮ったり、静かに通路に出て他の人の邪魔にならないような場所から撮ったりしてた。
少し驚いたのは、先生が立ったり座ったり歩いたりしても、なんだか気配がないの。

ママは「きっと鳥に気づかれないようにするからああなったんだ」って訳のわからないこと言ってたけど、そうなのかなあ。

クラスの踊りが終わったあと、サコちゃんは着替えてお化粧落として、“使用前・使用後”みたいなサコちゃんと、みんなでご飯を食べに行った。
先生はニコニコ楽しそうだった。
サコちゃんは「写真楽しみ、楽しみ」って喜んでた。
写真なんて今じゃスマホやデジカメで何百枚も撮ってもタダだし、すぐその場で見られるもんね。
時代ってすごい変わり方するよ。

その日は日曜日で、さすがに先生はお蕎麦屋さんのバイクでは来なかった(笑)
いつもちゃんとYシャツにネクタイで来る先生はいつも通りなんだけど、ちょっとよそ行き風でカッコよかった。
紺色で金ボタンのブレザーで縞のネクタイ、ピンクのシャツ。
先生は教師時代の同僚だか後輩に夜に会うので、いつも先生が帰る方向と反対の電車に乗るって言うんだけど、サコちゃんが「あたしW駅の不昧堂のお菓子買って帰る」って、先生と同じ電車に乗っていった。
ママが「あー!ズルイ、ズルイ」って言うんだけどさあ、フラメンコを観てたとき、ママは先生にちょっと腕組んでもらってたのあたし見てたんだよ、ちゃんと。

そんなこんなで、あたし、マミ、サコちゃんという変則3世代女で暮らして、先生が勉強教えにきて、ママは今まで通り自分が赤子を背負って通った大学の職員で仕事続けてた。

ある時、クラスの友達が「これさあ、もしかしてSのママ?」って、なんだかパンフレットみたいなの持ってきた。
見たらママの大学の『新入生の皆さんへ』みたいな冊子で、聞いたらその子のお兄ちゃんがその大学受かったとき貰ったのを何気なく見たら『学生課・◯◯◯◯美』って、ママの顔写真が偉そうに写ってて、『本学は皆さんを歓迎します』ってなんだかさらに偉そうなこと書いてて意外だった。
大人はやっぱり仕事してるときの顔があるんだね。

サコちゃんは、「そろそろくたびれてきた」って笑って、常勤で看護婦長までやってた病院を辞めて、今で言う『老健施設』の非常勤に鞍替えして、それでも忙しくしていた。

あたしは高校受験だし、夏休みだからってグダグダしてるわけにもいかず、でもそこは先生がプロだからさあ、ホントに助かった。
普通の人は知らないこと知ってるわけでしょ、中学校の先生だったんだから。
でも勤め先のこととかは、絶対話さなかったな。
そういうところもプロなんだね。

夏休み、先生が来る日の時間に合わせてあたしは図書館で勉強してた。
帰ってきたら、先生の都合でその日は遅く始めることにしてたのを忘れてて、ちょうど2時間早かったの。
一階のエレベーターホールで、ちょうどサコちゃんが出ていって商店街の方に曲がっていって、あたしには気がつかなかった。

(あー、これは先生と自分たちのオヤツと、今日発売の女性週刊誌買いに行ったな)

そう思って、特に声もかけずに部屋に戻ったんだよね。

三人で住んでたウチのマンションの間取りに一ヶ所、変なところがあってね。
玄関から入って廊下の突き当たり、ちょうどタタミ半分くらいの“袋小路”があるの。
前も右も左も90センチくらい壁で、サコちゃんの弟の大叔父さんは「これは途中で設計変えたんだよ」って言ってた。
サコちゃんは物怖じしないから、マンション買ったばかりのときエレベーターで会う人ごとに「あの変な行き止まり、どうしてますか?」って訊いたんだって。
みんなマチマチで、「なんとなく物置きっぽくなってます」とか、「昔買ったぶら下がり健康器を置いて洗濯物干してます」とか、器用な人は「自分で壁とドア作って私の書斎にしてます」とか色々でね。
ところで、90センチ四方の書斎って立ってるしかないじゃない?
ウチはサコちゃんが「これなら自分でできる」って、天井にカーテンレールを取り付けて、カーテン付けたの。
これ相当便利で、お客さん来たときにとりあえず何もかも放り込んで即席で片付けられるしね。

サコちゃんは私が先に帰ってきてるの知らない。
だからあたし玄関の靴を靴箱に仕舞って、エレベーターがウチの階に停まったらカーテンの陰に隠れて「サコちゃんばああああ!」って驚かそうと思った。
マンションはひとつの階に8部屋だけど、4部屋ずつに分かれてて、エレベーターがそれぞれにある。
ウチがエレベーターホールから一番遠い。
だからウチの前まで来る足音がしたら、それは“ウチに来た人”か“帰ってきた人”っていうこと。

お菓子食べながらマンガ読んでたら、エレベーターのゴンゴン上がってくる機械の音がして、ウチの階でドアが開いた。
聞き耳立ててると足音が一部屋目、2部屋目、3部屋目でも止まらない。

(サコちゃん帰ってきた!)ってわかったから、あたしは“袋小路”に入ってカーテン閉めて隠れたんだよ。

そしたら、帰ってきたのはサコちゃんだけじゃなかった。
先生も一緒なの。

(えっ?えっ?えっ?えっ?どういうこと!?)

先生が来る時間はまだ2時間も先なのに・・・。

(あー、これはきっと、よく先生は早めに来て商店街の『花壇』っていう古い感じの喫茶店でパフェとか食べながら少年ジャンプ読んでるし、きっとサコちゃんが先生見かけて一緒に帰って来たな)

・・・って思った。
それなら合点がいくから、二人まとめて驚かそうって、すぐ作戦変えて息ひそめてたの。

そしたらさあ・・・。
なんか今思い出しててもドキドキするけど、サコちゃんが「Mさん・・・」って先生を下の名前で呼ぶの。

「Mさん・・・ねえ・・・ギュってして」

サコちゃんが甘えた声で言って、見えないけど、息遣いとか気配で、サコちゃんが先生と抱き合って、そしてキスしてる・・・長ーいキス。
サコちゃんが先生の首に手をまわしてぶら下がるように抱きついてキスして、それで先生の胸に顔をうずめてるのまでなんとなく見えるような気がした。

(うわっ、うわっ、どうしよう??一体どういうことだろ??)

ってアタマの上にハテナが100個くらい飛び交ったけど、もちろんびっくりしてるけど、ショックじゃなかった。
先生は、「自分の好きなように生きるために、人は生きてるんです」って前にポツリと言ったし、「誰にどう思われるかじゃなくて、自分がどうしたいか」って口癖のように言う。
先生とサコちゃんにどんなきっかけがあったか今はわからないけど、二人が惹きあったんだろうなって思った。
あたしは先生大好きだけど、大人の言葉で書くなら性愛とか恋愛の“好き”じゃなくて、兄弟は居ないけど大好きなお兄ちゃんや親戚のおじさんみたいな感じ。
信頼して安心できる年上の人だったから、大好きな先生とやっぱり大好きなサコちゃんがそんな間柄なんて、ドキドキして、結構嬉しい気持ちになった。

しかし・・・。
喫緊の問題はこの状況であたしがどうするか、どうすればいいかだ(笑)
二人が一緒に帰ってくることなんて予想も予定もしてないw
サコちゃんを驚かそうと思っただけ。
そして何か覗き見たり盗み聞こうと思ったわけでもない。
だったら、あたしがここにいることがわかっても何にも問題ない!
・・・とは思うけど、サコちゃんも先生もバツが悪いかなあ・・・あたり前だよね。
でも、ちゃんといきさつがわかって、あたしが二人のそういう間柄をなんだか嬉しく思って(ちょっとだけ嫉妬w)サコちゃんのサバサバした性格と先生の普段の人となりなら、わかったところでそれはそれでいいって思うと思うし、言うと思う。
そうに違いない(笑)

あたしは20秒くらいそう考えて、“とりあえずココに隠れていよう”って決めた。
抱き合ってチューして、お茶でもいれてお菓子食べるかな?と思ってたそのときの私はやっぱりまだコドモだった(笑)

サコちゃんの「この前みたいにして・・・」って声が聞こえて、なんとなく衣ずれの音がして、居間にあるソファーがギシギシいう音が聞こえた。
そしたら、サコちゃんの荒い息遣いと・・・。

「あ・・・Mさん・・・いい・・・すごくいい、Mさん好き・・・、気持ちいい・・・あ・・・Mさん」

って、ああ~始まっちゃった。

(まさかこんな・・・)

ってドギマギしたけど、(ナニしてるんだろ、どんなことしてるんだろ?)って興味っていうか、想像っていうか、もうなんだかすごいエッチな気持ちになってきてあたしもあそこがくすぐったくなってきて、みるみる濡れてくるのが自分でもわかった。
もっと子供の頃、テレビで外国の映画とかでキスシーン、ラブシーンなんかをママと一緒に見てたとき、「ママ、あたしこういう場面見てるとおしっこするところがくすぐったくなる」って屈託なく言ったんだよ。
ママはゲラゲラ笑って、「いいから、放っときなさい、別に変じゃないしダメじゃないよ」とだけ言った。
自分も女だからそういう年代の変化は知ってるから、「あんたもそういうお年頃か」って思ってくれたのは良かったと思う。

そのうち“濡れる”っていう感覚というか事実(笑)も経験するようになって、オナニーも覚えた。
というか、“理解”した。

きっかけは『自転車派』とか『登り棒派』とか、『なんだろうこれはと触ってみた派』とか色々います(笑)
親と子の関係は親子の数だけあるし、何が良いとか悪いとか決められないけど、友達はオナニーしてるのが母親にバレて、「そんな変態みたいなことして!ダメ!絶対!」って怒られた。

「まるで違法薬物みたいじゃないwそれでずーっとダメなこと、隠さないとダメなことって思い込んですごい損した!」って言ってた。

野放図になんでもOKっていうのもマズイけど、生きてる人の数だけとりあえず、どこかの誰かと誰かのセックス(の成れの果て)があるんだし、親の考えも大切だけど、そういう決めつけはあんまり賢明じゃないよね?
エッチな気持ちになる自分のこと嫌いになっちゃうじゃない。

そんなこと今は余裕で言えるけど、そのときは切羽詰まってた。
先生も、服を脱いでる気配がした。
どこまで脱いでるか知らんけどw
そして、セックスしてるんだなっていうのが音や気配だけでもわかった。
あたしが一番驚いたのは、普段ニコニコしてあまり口数も多くない先生が、こういう場面では無口じゃないということだった。

「・・・さん(サコちゃんの名前)気持ちいい?」

「うん・・・いい。すごく気持ちいい」

「どこが気持ちいい?」

「そこ・・・」

「そこってどこ」

「・・・オマンコ・・・」

「・・・さんのオマンコが気持ちいいの?」

「そう・・・オマンコが気持ちいい。すごく」

「どうして欲しい?」

「もっとしてちょうだい」

「何を?」

「Mさんのオチンチン・・・ちょうだい」

「じゃあ、『チンポ突っ込んでください』って言ってみて」

「言わないとダメ・・・?チ・・・ンポ・・・チンポ突っ込んでちょうだい」

「どこに?」

「あたしのオマンコに・・・あっイジワル、止めないで・・・あたしのオマンコにMさんの、チンポ突っ込んで・・・たくさん・・・もっと」

「それからどうして欲しいの?」

「射精して・・・Mさん射精してくれる?この間みたいに・・・オマンコの中にいっぱい射精して欲しいの」

「この間、仕事に行ったときどうだったの?」

「あっ・・・職場に着いたら・・・Mさんの精子がオマンコから溢れて出てきた・・・」

「それから?」

「思い出してエッチになって、すごくしたくなって、トイレで・・・オナニーした」

「どうやって?」

「オマンコに自分で指を・・・入れてMさんの精子を顔に塗って、舐めてたの。クリトリスに塗ってオナニーした・・・」

「エッチだね。・・・はエッチで淫乱です、って言って」

「・・・は、エッチで淫乱なの。いつもMさんのこと思い出すだけで濡れる淫乱なの。オマンコから溢れてくるMさんの精子いつも舐めてオナニー・・・するの・・・MさんがSと勉強・・・してる声が聞こえても濡れてくるの・・・」

「じゃあ、オマンコに精子出してあげようか」

「うん・・・嬉しい・・・いっぱい射精してね・・・Mさんのチンポが射精するときが好き・・・精子で中が熱くなるの好き・・・」

「・・・が、イクときに出してあげようか」

「うん・・・イキそう・・・もっと奥までチンポ・・・チンポちょうだい・・・あっ・・・いきそう・・・いきそう・・・出して・・・精子出して・・・あっ・・・いく・・・Mさんいく・・・ちょうだい・・・いま・・・ああああっ」

サコちゃんが「あっ」「うっうう」「ああっ」って、あと聞き取れない言葉で何か言ったり叫んだりして、先生もサコちゃんに膣内射精したらしい。
サコちゃんはもう妊娠はしないだろうけど・・・それでもエッチだ。
エッチすぎる。
しばらくサコちゃんの荒い息遣いが聞こえて、ようやく「Sがもう帰ってくる時間・・・」と言って服や下着をつけてる気配がした。

そして、「Mさん、口でさせて」と言った

あたしはさらに驚いた。

(えっこれから?その後に?そういうものなの?)

そう思う間もなく、時々“チュッ、ブチュ”って音がしたり、“ズズズ~ズチュチュ~”って聞こえたりした。
(自分でもあからさまな擬音だと思います)

「・・・さん、出そうだよ。このまま出していい?」

って先生が言うと、サコちゃんが「んーん(いいよ)」って返事。

そのあとちょっと無言で、「ふう・・・たくさん飲んじゃった。おいしい、先生の精子。毎日飲んであげたくなる」って。

もうあたしはガマンの限界で、自分でもオナニー始めてしまっていた。
クリトリスがビクビクした。
こんなに濡れるのは初めてっていうくらい濡れた。

(声出ちゃったらここにいるのバレちゃう・・・でもどうせバレるけどどうしよう・・・)

ってアタマがクラクラしながら考えてたけど、イッちゃった。
声は出ないで済んだけど、ビクっビクって、オマンコの内側と自分の体が跳ねる感じだった。
パンツも指もビショビショだった。
指を舐めたらすっぱかったw

(あーあ、このあとどうしよう・・・)

そう思って、ボーっと考えながらじっとしてた。

そしたら先生が、「一旦、外に出てます」って言って、玄関から出ていった。

普通に時間通りやって来る風にするってこと?
どうしよう、サコちゃんだけいてもそれはそれなりに気まずい。
さてどのタイミングで出ていくか。
なんて言うか。
サコちゃんのリアクションは・・・?
さてさて困ったな~、時間はどんどん迫ってくるし。

・・・と思ったら!
サコちゃんが玄関で靴を履く気配がして、サコちゃんも出ていった。
鍵もかけた。

あたしは、「天祐じゃ!」って思わず大声出して、慌ててリビングに行った。

テーブルに『S、先に帰ってきてたらごめん、ロールケーキは先生用、ダメ』と書き置きがあった。

(ロールケーキの心配か、まったくもう、でも助かった、入れ違いのフリができる・・・)

あたしは人生でこんなにホっとしたことは経験なかった。
運命を信じたw
靴箱の自分の靴を出して、リビングで背伸びして(ムリな姿勢でずっといたままで、オマケにオナニーまでしたから)時計を見た。
そろそろ先生の来る時間だった。

エレベーターの音と二人分の足音がして、カギをガチャガチャする音がした。
先生ならピンポンだから、二人で揃って帰ってきたのがわかった。

「あー、S、先だったね。来る道で先生に会ったから・・・」

と、サコちゃんはフツーの顔だった。
先生もいつもの先生だった。
あたしは自分でも驚いたけど、あたし自身がすごく普通だった。
絶対にバレちゃいけないこと・・・なのかもしれないけど、あたしにとってはなんだかドキドキする、ちょっと嬉しい秘密だった。

(マミはどう思うかなあ・・・)って少し思ったけど、バレたらバレたでそのとき考えるしかないって思った。

大人の世界ってこんなに色々あるんだな~って思ったけど、嫌じゃない。
二人がそうなら、そういう世界があるってことなんだなってわかった。

(サコちゃんにとって、先生はどういう男性なんだろう?)

そう思ったんだけど、死んじゃったパパが生きてたらほぼ先生の齢なんだよね。
つまり親子くらいの差。
サコちゃんにとって世界一愛してたはずのパパ、つまり息子は死んじゃった24歳で止まってるけど、先生はきっと生きていたはずの息子なのかもしれない。
本当の母と息子じゃ親子の愛だけど、サコちゃんにとって息子みたいな先生。
そしてもともとアカの他人だから、恋愛だってセックスだってお互いがそう思えばそれでいい。
そんなことなのかなーって思った。

あたしは高校受験も無事終わり、先生のご指導のタマモノで、希望してた高校に合格した。
入学手続きやらなにやらでその高校に行くとき、サコちゃんが「あたしも見に行きたい」って言いだした。
そして「先生も行ってみたいって、だから一緒に行こう」って言うから、あたしはハハーンって思ったけど、「うんうん、そうしよう」って言って3人で行ってきた。

帰り道、ファミレスに寄って3人でお昼ご飯を食べてる時、あたしは思い切って・・・。

「ねえ先生、受験も終わったし高校生になったら勉強は自分でやっていくけど・・・ずっと仲良しでいてよ。ねえ」

ここまで言うとフシギに度胸が出た。

「先生、あたしもマミもサコちゃんも、先生大好きだよ。先生、先生サコちゃんのこと好きでしょ?」

とうとう言ってしまった。
野となれ山となれだけど、先生やサコちゃんを責めたり傷つけたいわけじゃない。
あたしも、そのことを知ってるから当たり前のことにして欲しいと考えたわけ。
誰も悲しい思いするわけじゃないしね。

先生はじっとあたしの目を見た。
少しサコちゃんの方を向いた。
サコちゃんはさすがにビックリした顔を一瞬したけど、すぐニコニコして、「うん、あたしね、先生大好き。Sに言おうと思ってたの。マミは知ってるよ」と言った。
先生は静かに笑っていた。

あたしは「うん・・・あたし嬉しいよ~、高校合格したのと同じくらい嬉しい・・・」って涙が出てきた。

女ってさあ、“感情”がうつるんだよね。
悲しい気持ちで泣いてる人がそばにいると、自分とはなんの関係もなくても悲しくなってくる。
“嬉しい”もそう。
サコちゃんまで泣き始めた。
ウェイトレスさんが、「なにこのテーブル・・・」って感じで横を通りすぎた。

先生はサコちゃんの腕にそっと手を添えて・・・。

「僕はね、また中学の教師に戻ろうかなと思ってたんですけど、お母さん(マミのこと)の大学に行って講師をすることになりました。これからもよろしくお願いします」

そう言って、あたしに頭をさげた。
そういうことだったら大歓迎だ。
あたしには全部、幸せな話だった。

「5月に入籍します」

(ぎょえええええっ!?そうなの?そういうことなの?ということは先生はあたしの・・・)

「僕、おじいちゃんです」

ニコニコして先に先生が言った。

おじいちゃん、それでもいいや。
なんだっていいや。
あたしは嬉しいを通り越してボーっとしてた。

帰ったらマミが、「なにS、聞いたの?ショック?」ってニヤニヤしてる。

あたしはちょっと悔しいから、「聞いたけど、なんとなくわかってたもーん。女の勘」って言い返してやった。

でも先生が、マミの続柄ではお父さんなんてオカシイ。
でもそんな家族も面白い。
あたしは本当に幸せだった。

それから年月が経った。
サコちゃんはいつもツヤツヤして、可愛かった。
先生は16歳下だけど、なんだかずっと一緒にいるような感じで自然だった。
二人はちょうど20年、一緒に過ごして、サコちゃんは病気で亡くなった。
先生は2年後、後を追うように亡くなった。
サコちゃんも、特に先生は若すぎるくらいだったけど、それも運命っていうか、そうなるようになった人生だなーって思った。
二人はいつも幸せだったんだろうから、時間の長い短いは関係ないのかもしれない。
マミは、ずっと勤めてた大学でいつの間にか結構偉くなってて、「赤子しょって通った甲斐があったよ」と笑ってる。
再婚なんかもしなかった。
あたしはと言うと、大学卒業して今、中学校の先生やってる(笑)
なんだか自分でもやってみたくなったんだよね。

「ムリだったらさっさと辞めればいい」ってマミもサコちゃんも先生も言ってたけど、なんだか向いてるみたい。

先生になってみて良かったなって思ってる。

あんまりエッチな話じゃないよねー。
読んでくれてありがとう。

純愛・青春

Posted by Small Stone River