ED目前の年で処女の嫁さんをもらえるとは思わなかった

純愛・青春

僕はある財閥系企業に勤めている。
入社以来、仕事ばかり馬車馬のようにこなしていたら実績が認められて、56歳で取締役にされてしまった。

僕は本当に仕事以外取り柄が無い。
会社に個室とパソコンが与えられたが、慣れたもので仕事なんか定時以内に終わってしまう。
でも下が頑張っているのにさっさと帰るわけにもいかず、余った時間は部下の相談に乗っている。
もちろん秘密厳守だ。
都内に家を持っているから「電車で通勤する」と言っても、人事が「セキュリティの問題ですから」と車で送迎して定期券をくれない。
仕事の邪魔になると女性を遠ざけてきたので結婚も恋もせず、貯金だけはあるので部下達のために使っている。
女の子には美味しいケーキを、そして若い社員たちには酒や御馳走を振る舞っている。

最近の若い者は義理堅いというのか、そんな事をしていると僕のところに仕事を回さない。
おかげで時間が出来るのでネットサーフィンしている。
色々なサイトを見て回るのは面白い。
会社はそんな僕に高性能なパソコンをあてがって、実務をこなす若者にはエントリーマシンを与えている。
そこでパソコン仕事が早いという社員とパソコンを交換した。
彼女は高性能機をフルに使って所属課全体の業務フローをスピードアップしてくれた。

「よくやってくれた」と彼女にはご褒美を出した。

ところで僕はロマンスグレーが似合う渋い感じになってきた。
いよいよ枯れた男になったなと思っていたら、30歳くらいの女子社員に色々世話を焼いてくれる娘達が現れた。
世の中には未熟な女子高生の青い香りが好きだといういい年をした男性がいるのと反対に、オジサンの加齢臭が好きという若い女性がいるらしい。

ある時、28歳の自分の秘書に真顔で、「私は取締役の仕事に命を懸ける男らしい生き方が好きです。私なんか釣り合わないですが、私は本気で取締役に恋をしています」と告白されて、驚きのあまり椅子から転げ落ち、返事が出来なくて頭を抱えてしまったことがある。
これを機に彼女の体当たり攻撃が始まった。
仕方がないので、「週末は1回デートしよう。その代わり平日は仕事に集中しよう」と取り決めをした。

若い彼女とデートすると親子に見られて都合がよい。
彼女は欲がない。
昼ご飯はモスバーガー。
ウィンドウショッピングをして「欲しいものがあったら買うよ」と言っても、「見るだけだから楽しいんです」と答える。
晩御飯も安い若者向けイタリアン。
彼女について行くと、今まで食べた事のない食事に、しかも安くて美味しいお店に引っ張って行かれる。
それが新鮮で珍しくて楽しい。
私が会社に篭っている間に日本は豊かになったものだ。

ある時、「今度は取締役がお酒を飲みに連れて行ってください」とリクエストされたので、新橋で広島の美味しいお酒を飲ませてくれる店に招待して和食を御馳走した。
彼女は美味しい料理を喜んだが、「私もこれくらい毎日作れるようにならないと・・・」と妙なファイトを燃やした。

食後、ちょっと冷たい夜風に吹かれて歩いた。
いきなり彼女が手を引くので、何かと思えば連れ込み旅館だった。
最近はファッションホテルと言うらしい。

「あのね、僕は年はいっているけど女性経験ゼロ。童貞だよ。おじさんのテクニックは期待できないよ。だからこういうデートは控えよう」

「あら、私だって初体験です。処女です。だから大丈夫なのです」

そう返され、結局ホテルに引き込まれてしまった。

全裸の彼女を見て、心の底から美しいと思った。
しばらく見惚れていると、「私の体は全部取締役のものですよ。好きになさって下さいね」と言われた。
彼女に服を脱がせてもらい、彼女に手を引かれてシャワーを使ってベッドインした。
言葉通り、彼女は処女だった。
自分はもう枯れているだろうから避妊はいらないだろうと思って交わったら、ぴゅーっと自分でも驚くぐらい大量の精液が彼女の中に出てしまった。

「痛かったろう。ごめん」

「いいえ、私は嬉しいです。もし妊娠したら愛人で良いから認知してくださいますか?」

そこで僕は、老母と2人ぐらしで家事に困っていることなど家庭の事情を話した。
彼女は目を輝かせて、「お母様には従いますから、妻にして家政婦代わりに使って下さい。妻として取締役を支えるのが私の夢です」と頼み込んできた。

「でも僕はED目前だよ」

「そんなもの、私が体を使って近寄らせません」

「わかった。母に話してみるよ」

自宅に帰って母に話すとお嫁さんを貰うことには歓迎の意向だった。
彼女も実家に僕のことを大袈裟に伝えたらしい。
すっかり恐縮されて、結婚の許諾を頂いた。
近々ご挨拶に伺うことにした。
彼女のお父様は日本酒が大好きだそうだ。
新橋の専門店で美味しい所を見繕ってもらって持参しよう。
お母様には花束にしようと思った。

しかし・・・、この年になって結婚とは夢にも思っていなかった。
本当に世の中、何があるかわからない。