母親代わりの姉にレイプ動画オナニーを見られて

純愛・青春

俺が小学校に上がる前、姉が小3のとき母親が死んだ。
お母さんが居なくなって2週間くらいしたある日の朝、朝起きると姉ちゃんが朝ごはん作ってた。
父さんと俺が起きてくると、姉ちゃんは「ほら、早く食べて」と言った。
料理は確か、こげた卵焼きと、味付けなしで炒めただけのウインナー、それからお湯にしょう油入れただけのような吸い物だったと思う。
信じられないくらい不味かったが、せっかく姉ちゃんが作ってくれたから一生懸命食べたよ。

3人で食事してるとき、姉ちゃんが「これからは私がお母さんだからね。だからもう心配いらないからね」と言った。

今思えば、お母さんが死んですっかり暗くなってた我が家に以前の明るさを取り戻そうと、姉ちゃんも一生懸命だったんだろうな。
でも当時の俺は、姉ちゃんの決意も姉ちゃんが何を言いたかったのかも理解できなくて、せっかくの母親宣言を軽く流した。
だけど父さんは姉ちゃんの言葉を理解したようで、姉ちゃんの言葉を聞いて食事中いきなり号泣し、姉ちゃんに抱きついて「すまなかった。父さんがしっかりしなくちゃいけないのに」とか「ありがとな。本当にありがとう」とか言って二人して抱き合って泣いてた。
まだ幼かった俺は、なぜ二人が泣いてるのかも、どうして「ありがとう」と父さんが言ったのかも理解できなかった。
俺はただ、異常言動の二人をボーと見てるだけだった。
父さんの突然の号泣に驚いたから、この事ははっきり憶えてる。

それ以降、姉ちゃんは本当にお母さんとして頑張った。
習い事のバレエやピアノも辞めて、部活もせず、掃除や洗濯、料理と家事全般を引き受けた。
姉ちゃんの中学は、半強制的に部活に所属させられるみたいだったけど、姉ちゃんは特例として帰宅部を許された。
俺に宿題させたりとか、近所の人に挨拶するよう教えたりなんかも、全部姉ちゃんがやった。
頼れる親戚も居ないし、父さんは家に居ないことが多かったから姉ちゃんがやるしかなかった。
英語が得意な父さんは海外出張も多く、丸々ひと月ほど家を空けることも珍しくなかったから、広い家は俺と姉ちゃんの二人で居ることも多かった。
俺にとって姉ちゃんは、姉であり、母親であり、遊び相手であり、また人生相談の相談員でもあった。
俺は姉ちゃんに申し訳なくて、小学校高学年くらいになった頃から家事の手伝いを始めた。
家族の俺が手伝うのなんて当たり前なのに、姉ちゃん泣いて喜んでたっけ。

俺が小4の頃、姉ちゃんとその友達にいたずらされたことがある。
うちはお母さんも居ないし、父さんも仕事で居ないことが多かったから、姉ちゃんの友達が時々泊まりに来たりした。
その日も姉ちゃんの学校の友達が家に泊まりに来て、調子に乗って酒飲んだらしい。
初めて酒を飲んだ姉ちゃんたちは暴走し、みんなでベッド寝てる俺のパンツ下ろして色々いたずらしたらしい。
“らしい”と書いたのは、実は当時の記憶がはっきりしないからだ。
当時俺は、ベッドには入って寝てたけど、でもいたずらされてすぐ起きた。
起きたことは憶えてる。
だけど、事の最中の記憶がはっきりしない。

とにかくこの事件以降、俺は大の女嫌いになった。
ダメなんだよな俺。
女の性欲というかそういう下劣な欲望感じると、全身に嫌な汗が流れたり、震えが止まらなかったりするんだよ。

だからバレンタインのチョコなんかは、全部姉ちゃんにあげてる。
チョコに付いてる手紙は仕方なく読むけど、行間から黒い欲望が見え隠れしてるような気がして、その作業は苦痛以外の何ものでもない。
女に告られたこともあるけど、人気の無いところで間合いを詰めてくる女は俺にとって恐怖でしかない。
告られてる最中、壁際に追い込まれると怖くてしょうがないから、無意識のうちに背中側が壁にならないよう足が動く。
電車に乗ってるときも、女との距離が近すぎて不意にいたずらされた記憶が蘇って、涙が止まらなくなって電車を降りたことがある。

とは言え、俺も男だし性欲はあるからエロ動画も見る。
見るのはもっぱらレイプ動画だ。
それも途中から和姦になるような中途半端なヤツじゃなくて、最後まで女が泣き叫んでるようなやつ。
レイプ動画っていいんだよね。
俺、女の性欲感じると気分悪くなるんだけど、最後まで泣き叫んでるようなやつは、女の性欲があんまり表現されてないし。
何というか、レイプ物の場合、ちゃんと人格のある“女”じゃなくて、女を女の形をした“物”として描写してるようなのばっかりで、その点はすごく安心だ。

高2の頃だったかな。
深夜、自分の部屋の机にノートPC置いて、その横にはティッシュをセット。
下半身裸で椅子に座って、いつものように部屋でレイプ動画見てた。
やがて俺は、片足は床に付けたままで片足は机に乗せ、右手でチンコを擦るという格好に。
行為はエスカレートしていき、俺は右手を動かすのではく、右手を固定して腰を前後させるという方法に移行した。

姉「ゆうくん」

腰振りをやめて振り返ったら、部屋の入口に姉ちゃんが立ってた。
当時、俺はノックせずに入ってきたと思ったが、ノックはしたけどヘッドホンしてたから聞こえなかっただけらしい。

俺「わ??ね、姉ちゃん?何だよ。勝手に入ってくんなよ!」

慌てて俺は、下半身を隠すためにベッドに駆け込んだ。
だけど俺は慌ててたから、ヘッドホン頭に掛けたまま、動画再生を停止することも忘れて、そのままベッドに駆け込んじゃったんだよな。
ヘッドホンはPCから外れ部屋には「イヤー。やめてー」という女の悲鳴が大音量で聞こえ始める。
気が動転しながらベッドに潜り込んだものの、今度はベッドの中で究極の選択を迫られる。
動転は加速していく。

どうしよう?もう一度ベッドから出て、再生を止めに行こうか?
それとも、このままベッドに隠れて惨めなフルチン姿を隠そうか?

結局俺は、フルチン姿をもう一度姉ちゃんに晒す勇気が出ず、ベッドから動けないでいた。

ふと姉ちゃんを見ると、姉ちゃんは音声を流し始めたPCをじーっと見つめてた。
運の悪いことに全画面表示だ。
姉ちゃんとPCは距離があったが、それでも音だけでなく動画の内容が十分確認できるだろう。
俺はもう恥ずかしさのあまり、頭までベッドに潜った。

うう、マジ死にたい。
頼む、姉ちゃん早く出てってよ。

そう思ったが、俺の気恥ずかしさは既にレッドゾーンに入っていたので、「出てってくれ」と姉ちゃんに言うことさえ思いつかなかった。

突然、女の悲鳴が聞こえなくなった。
どうも姉ちゃんが動画を止めたようだ。

姉「ゆうくん、あのね・・・」

布団に潜ってる俺に姉ちゃんは何か言いたいようだったが、姉ちゃんもまた、次の言葉がなかなか出せなかった。

姉「ゆうくん、いつもこんなの見てるの?」

姉は一息置いて、落ち着いた口調で話しかけてきた。

俺「べ、別にいいじゃねえかよ。こんなのみんな見てるだろ?」

俺はベッドから顔を出さず、不貞腐れたように返す。

姉「そうだね。ゆうくんも年頃の男の子だから、女の子の体に興味あってもいいと思うよ。でもね、ゆうくん。こういうのに興味持っちゃダメだよ。これ、絶対犯罪だよ?まさか、ゆうくん、いつも女の人に乱暴したいと思ってるの?」

姉ちゃんは俺がレイプ物に興味を持ってることを心配してるようだ。

姉ちゃんは、本当に俺の母親代わりだ。
軽蔑するわけでもなく、嘲笑うわけでもなく、感情はとりあえず心に押し込んで、冷静に俺を諭そうとしてる。
今考えれば、本当に俺のことを心配してくれてたんだと思う。
ありがとな姉ちゃん。
そりゃ、部活もしない、彼女もいない、引きこもりがちの高校生がレイプ動画で興奮してたら、姉ちゃんだって心配になるわな。

俺「レイプに興味なんか、あるわけないだろ。たまたまそういうの見てただけだよ。俺、そんな趣味ねえよ」

姉「ホント?」

俺「当たり前だろ?俺、変態じゃないし」

姉「・・・じゃあ、これ何なの?このフォルダに入ってるやつ、全部それ系だよね?」

(え・・・?)

姉から予想外の突っ込みを受けて、俺は布団から顔を出して姉ちゃんが指差すPCを見た。
全画面表示だったメディアプレイヤーは閉じられ、フォルダが開かれているのが見える。
遠くだから字までは見えなかったが、でも、そのフォルダに何が入っているのかは、もちろん知ってる。
そうだ、あのフォルダには各種レイプ動画が、非常に内容の分かりやすいファイル名で入っているんだ。

姉「ゆうくん、お願いだから、あたしには嘘つかないで」

俺「仕方ないじゃないかよ。姉ちゃんに変なことされてから、普通のエロ動画見られないんだから。女の性欲というか、そういうの感じちゃうと、俺、気分悪くなるんだよ。姉ちゃんが悪いんだからな」

追い詰められた俺は逆ギレして、ふてくされたように姉ちゃんに言った。
ばつが悪くなった俺は、そう言ってまた布団に潜った。

今思えば、決して言ってはいけない一言だったと思う。
これまでに「ゆうくんは女の子が好きじゃないの?」と姉ちゃんに追及されたことは何度もあった。
でも、「姉ちゃんにいたずらされてから、女が好きになれない」って言ったら、姉ちゃんが傷つくんじゃないかと思って、本当のことは一度も言ってない。
今まで適当にはぐらかして言わなかったその一言を、気が動転していた俺は、うっかり言ってしまった。
それどころか、気が動転してて、自分が言ってはならない一言を言ってしまったことさえ気付いていなかった。
あのときの俺は、ただ自己保身に必死だった。
そんなことを言ったら、姉ちゃんがどれだけ傷つくかも考えられないほどに。
もしできるなら、あの場面をもう一度リプレイしたい。
今度は絶対間違えない。

姉ちゃんはしばらく何も言わなかった。
早く出てって欲しいのに、この長い沈黙は結構辛かった。

姉「・・・バレンタインとかクリスマスとかで、ゆうくんに思いを寄せてくれる女の子いたでしょ?ゆうくん、ああいうのもダメ?」

布団の中に潜って聞いてたからよく分からなかったけど、声は震えてるみたいだった。

俺「うん。ああいう感じで近寄られると、嫌な汗が出たり、叫びたくなったりする」

姉ちゃんの質問の意図が分からず、俺はすらすらと正直に質問に答えた。
そのとき俺は、自分の言葉が姉ちゃんに与える衝撃も考えず、ただ早くこの時間が過ぎてくれとしか思ってなかった。

また長い沈黙だ。
頼むから勘弁してくれ。
オナニー見つかった後のこんな情けない格好のまま、いつまでいさせる気なんだよ。
うう、こんな重圧耐えられない。

俺「とにかく、部屋出てってよ!」

布団から顔を出して、怒鳴るように姉ちゃんに言った。

俺「姉ちゃん?・・・」

布団から顔を出して見ると、姉ちゃんは床にへたり込んで座っていた。
泣いてた。
真っ青な顔して、へたり込んだまま声も出さず、俺のことを見ながら静かに涙を流してた。
普通の泣き方じゃなかった。

姉ちゃんは泣き虫だからよく泣くけど、大抵は「バカァァァ。もう知らないからぁぁ」みたいに怒鳴りながらだったり、「あたしだってね、たまにはね・・・」とグチグチ言いながらだったりだ。
こんな静かに泣くことなんて、あんまりない。

ここでようやく俺は気が付いた。
自分が決定的なことを言ってしまったことに。

姉「そうだ・・・ね・・・ごめん・・・。もう行くね・・・。ごめんね、ゆうくん・・・ごめんね・・・ごめんね・・・ごめんね・・・」

俺に怒鳴られた姉ちゃんは、よろよろと立ち上がって、手で口を押さえ、消え入りそうな声で何度も涙声で謝りながら静かに出て行った。

俺「ァ・・・姉ちゃん・・・」

姉ちゃんの足音はそのまま姉ちゃんの部屋まで続き、その後、姉ちゃんの部屋の扉が閉まる音が聞こえた。

・・・どうしよう・・・姉ちゃん、傷ついちゃったよ・・・。
謝らなきゃ・・・いや、逆効果だ・・・。
笑いながら「さっきのあれ、嘘だよ~」って言おうか?
ダメだ、そんな取り繕ったような嘘じゃ、姉ちゃん騙せないよ・・・。

パンツを穿きながら、俺は部屋で自問自答を続けた。
もうフルチンで開脚して腰を振ってた場面を見られた恥ずかしさは消えてた。
姉ちゃんの涙は、自己保身に凝り固まってた俺の考えを全て吹き飛ばすのに十分な破壊力だった。
いくら考えても結局答えは出ず、時間は深夜になった。
もう姉ちゃんも寝てるだろうと思って、とりあえず明日また考えることにした。

翌日、俺も姉ちゃんも学校だった。
姉ちゃんは朝起きてこなかった。
俺も、今日はゆっくり寝かせてあげた方がいいかなとか思ったから、姉ちゃんを起こしには行かなかった。
俺は一人でご飯食べて、姉ちゃんの朝ご飯を用意してから家を出た。
朝ごはんの横に書置きを残そうかと思ったが、俺は姉ちゃんになんて言えばいいのか分からなかった。
結局、選んだ言葉は、当たり障りのない慰め方である『元気出せよ』というものだった。

学校では、ずっと姉ちゃんのこと考えてた。
お昼はいつも友達と食べるんだけど、その日、俺は「ちょっと調べものがあるから、昼は図書室行ってから食べるよ。悪いけど先に食べてて」と友達に言って、一人で食べた。
友達とバカ話をする気にはなれなかった。
学校終わってからも、なんて声を掛けていいか分からなかった俺は、まっすぐ帰ることができず、ゲーセン行ったり、街中歩いたりした。

確かに俺が女嫌いになったのは、姉ちゃんたちの悪ふざけが原因だ。
だけど、俺はそんなことが気にならなくなるくらい、姉ちゃんからいっぱい愛をもらってる。
風邪で熱を出してても俺の食事を作ってくれたこと。
どんな味なのか試したくてたばこ買ってみたら姉ちゃんに見つかって、姉ちゃんは泣きながら怒ってくれたこと。
喧嘩して家出した俺を何時間も探してくれて、姉ちゃんに見つかった時、怒られると思ってたら姉ちゃんが泣き出しちゃったこと。
俺に抱きついた姉ちゃんの手が冷たくて俺も泣いちゃったこと。

うーん、考えてみたら、姉ちゃんにはずいぶんとお世話になってるなあ。
よし、今日はケーキ買って帰ろう。
少し遠出して、姉ちゃんの好きなケーキ屋に行こう。

家に着いたのは7時半くらいだった。
帰ってくると、姉は居なかった。
その日は父さんも帰って来ない日だったから、俺が帰ったとき、家全体が真っ暗だった。
キッチンには、晩ご飯の用意があった。
姉ちゃんがしてくれたんだ。

ご飯の横には『元気くれてありがとう。ちょっと遅くなるから、あっためて食べてね』と書き置きがあった。
朝、書き置きに書いた『元気出せよ』って言葉が、少しは姉ちゃんの心に届いたかなと思って少し嬉しくなった。

姉ちゃんとメールで会話する俺。

俺『今どこ?』
姉『いいとこ』

俺『何時くらいに帰ってくる?』
姉『10時くらい。話あるから今日は起きてて』

俺『イエッサ!!駅着いたら連絡して。迎え行くから』
姉『じゃ甘えちゃおっかな。よろしく~』

いつもの姉ちゃんみたいで、少し安心した。
でも、話があるってのが気になった。

姉ちゃん、何の話を切り出すんだろう。
女嫌いのこと?俺がレイプ動画好きってこと?
それとも「オナニーは控えめに」とかなのかな?

そのことを考えると苦痛だったけど、この時はそんなことより、いつもの姉ちゃんに戻ったことが嬉しいという気持ちが強かった。

10時前くらいに姉は駅に着いた。

姉「おー、ゆうくん来たねー。それじゃ参りましょー」

飲んでるとすぐに分かるくらいハイテンションだった。
並んで歩き始めてからしばらくして姉ちゃんは、肘より少し上くらいの俺の服の端をちょこんと持った。
きっと無意識にやってんだろうな。
姉ちゃんは俺の服の裾を持って、「それでねー、◯◯ちゃんがねー」と元気に話しかけてくる。
高くて澄んだ声の姉ちゃんがこういうしゃべり方すると、まるで子どもが話してるみたいだ。
うーん、可愛い。
世に言う姉萌えというやつです。

姉ちゃんは女子高生の頃、夜遊びはもちろん、友達とご飯食べたりなんかもほとんどしなかった。
理由は、まだ中学生だった俺や働いてる父さんのために夕ご飯作ったり、洗濯したり、掃除したりしなくてはならないからだ。
だからいつも真っ直ぐ家に帰って、家事をして、その後は学校の勉強をしてた。
姉ちゃんは、自分は中学生の頃、部活を免除されて家事やってたのに、俺には部活をやらせた。

『ゆうくんは男の子だから、将来人脈とかが大事になるんだから、今は部活しなさい』というのが姉ちゃんの言い分だ。

父さんもそれに同意したので、結局、俺は中学生時代、姉ちゃんに頼りっきりになってしまった。
でも姉ちゃんの話しぶりからすると、友達が部活で汗流したり学校終わって遊んでるとき、自分一人だけ家に帰らなきゃならないのは、やっぱり辛かったんだと思う。

俺が高校生になって帰宅部になると俺も家事ができるようになったから、姉ちゃんもようやく飲みに行ったりするようになった。
だから俺は、姉ちゃんがこうやって夜遅く帰ってくると少し嬉しい。
姉ちゃんも人並みの女子大生として幸せになって欲しい。
まあ、悪い虫がつかないか心配でもあるけど。

家に着いてから。

俺「何か食べる?お茶漬けかうどん、蕎麦くらいなら作るよ」

姉「あー、お茶漬けいいねー。シャケまだあったよね?」

俺「OK。ご飯とお風呂どっち先にする?」

姉「ごはーん」

姉ちゃんは子どもみたいな言い方で答えたから、可愛いなあと思いながら、俺はすぐにキッチンに行った。
飲んだ後だから今日はケーキは食べられないかな?と思って、その日、姉ちゃんにはケーキを買ってきた話はしなかった。
ご飯を食べ終わると姉ちゃんは「お風呂から出たら少し話がしたいの。起きててね」と言った。

いよいよ姉ちゃんが話を切り出してくると思って緊張した。
ああ、イヤだな。
俺、ストレスに弱いから、こういう大事な話とかって苦手なんだよな。
できれば寝逃げしたいよ。
かと言って姉ちゃんから起きてるよう指令が出てるから寝逃げするわけにもいかず、自分の部屋でぼーっと2ちゃんやってたら、姉ちゃんが風呂から出て来て俺の部屋に来た。

姉「ゆうくん、いい?」

(あれ?姉ちゃん、風呂上がりなのに化粧してるの?)

と言っても、ファンデと口紅くらいだけど。
コンビニでも行くのかな。
そう思いながら返事をした。

俺「あ、うん」

姉「・・・昨日のことなんだけど」

俺「・・・うん・・・」

昨日のことって、どのことだ?
俺が女嫌いだってこと?
それとも俺がレイプ動画好きだってこと?
それともまさか開脚オナニー見たことか?
どの話でも俺は死にたくなる。

姉ちゃんも言葉に詰まってなかなか切り出さないから、ジェットコースターが急降下する前のような嫌な緊張感を、結構長く味わった。

姉「・・・本当にごめんなさい。ゆうくんが今も苦しんでるなんて、あたし知らなくて・・・」

俺「え?ああ、別にいいよ。そんな深刻に考えないでよ」

姉「・・・ゆうくんは、女の子が怖いの?」

俺「いや、もういいよ・・・」

姉「お願い。正直に答えて、ゆうくん」

俺「・・・うん。少し怖い」

最初は取り合わない作戦だったけど、姉ちゃんの迫力に押されて、思わず答えてしまった。

姉「でも、乱暴するようなやり方だったら怖くないの?」

俺「いや、そういうわけじゃ・・・。なんていうか、ああいうレイプ系って、女の人じゃなくて女の形したオブジェみたいに扱ってるでしょ?だから、なんとなく心の負担が少なくて。でもさ、別に本当に女の人に乱暴したいわけじゃないよ?だから・・・安心してよ・・・」

自分の性癖のことを姉ちゃんにするのが恥ずかしくて、俺はたぶん耳まで真っ赤だったと思う。
その頃はまだ、姉ちゃんとは下ネタを話したりはしなかった。

姉「ゆうくん、あたしは平気?あたしも怖い?」

俺「いや、姉ちゃんは平気だよ。今日だって姉ちゃんが俺の腕に掴まっても別に平気だったし、普通の女だったら、たぶんあれで心臓バクバクいってるよ」

姉「あのね・・・」

何か言いかけてから姉ちゃんはしばらく何も言わなかった。

姉「・・・じゃあ、あたしに・・・していいよ・・・」

俺「何を?」

姉「・・・あたしを・・・乱暴していいよ・・・。ゆうくん、レイプとかなら抵抗少ないでしょ?」

俺「・・・」

姉ちゃんは耳まで真っ赤だった。
昨日から、ある程度、姉ちゃんとこの件で話し合うことに備え、繰り返し会話のシミュレーションをしてた。
でも、こういう展開は全く予想してなかった。
返す言葉も思いつかず、しばらく呆然としてた。
俺が無言で見つめてたことも手伝ってか、姉ちゃんはさらに赤くなって、俯いてしまった。

姉「ゆうくんが女性恐怖症になったのは、あたしの責任だから。だから、あたしがゆうくんを元に戻してあげるよ。あたし、そのためだったら何でもするから!ゆうくんはもう何も心配しなくていいの」

突然、姉ちゃんは開き直って思いをぶつけるかのように、強い口調で言った。

俺「ふざけんなよ?俺がそんなことされて喜ぶと思ってんのかよ?姉ちゃん傷つけるくらいなら、彼女なんていらねえよ。一生独身でもいいよ。一生童貞でもいいよ。結婚とか彼女とか、そんな下らないことのために、俺が姉ちゃん犠牲にすると、本気で思ってんのかよ?ずっと一緒に暮らしてて、俺のたった一人の姉ちゃんなのに、どうしてそんなことが分からないんだよこのバカ!」

俺は怒った。
椅子から立ち上がって激しく怒った。
でも、最後の方は涙ぐんでたと思う。

姉ちゃんは俺の目の前まで近づいて、ポンと俺の両肩に手を置いた。
そして、感情的な俺とは対照的に穏やかな口調で、でも力強く言った。

姉「一生独身なんてこと、ゆうくんはもう考えなくていいよ。ゆうくんはね、あたしが必ず元に戻すから。あたしね、ゆうくんをこんなにしちゃったこと、今日、お母さんに謝ったの。それから、お母さんに約束したの。ゆうくんは、あたしが必ず元に戻して、必ず幸せにするってそのためには、私どんなことでもするって」

姉ちゃんは怒鳴り声が苦手だ。
俺や父さんが怒鳴ると、ビクッとなってあまりはっきり物を言わなくなる。
それから、怒鳴ってるときは、近づいてこなくなる。
でも、今日は、俺がこんなに激しく怒ってるのに近づいて来て、怒ってる俺に穏やかに反論してる。
ずっと一緒に暮らしてるから、俺、知ってるんだ。
こういうときの姉ちゃんは、もう簡単には意見を曲げないことを。

姉「あたしね、初めて好きだって男の人から言われたのって中学1年の頃なの。その人のこと、あんまり好きじゃなかったけど、でも、すごくドキドキしたし、すごく嬉しかった。初めて彼氏が出来たのは、中学2年の頃。二人でどこかに行ったり、一緒に図書館で勉強したりすごく楽しかった。その後もね、何回か恋したの。どれもみんな、すごくいい思い出だよ。でもね・・・あたし・・・。ゆうくんから・・・そういう楽しい思い出・・・全部奪っちゃったんだよね・・・。ごめんね・・・本当にごめんね・・・。あたしね・・・、どうしても償いがしたいの・・・。どうしても、出来ることならなんでも、ゆうくんに何かしてあげたいの・・・」

姉ちゃんは震えながら、ボロボロ泣き出した。
この頃には俺はもう、迫力負けというか、あまりの展開速度に思考がついていけなかった。
というか、とにかくただ姉ちゃんの話を聞くだけになってた。

姉「だから、私はゆうくんに恨まれたって仕方ないし、乱暴されたっていいと思ってる」

俺「・・・俺が姉ちゃん恨むわけないだろ?俺、姉ちゃん大好きだよ」

姉「・・・ううう・・・ゆうくん・・・。バカァァァこんなときに大好きだなんて言われたら泣きたくなっちゃうじゃない・・・」

姉ちゃんは俺に抱きついて、声を上げて泣いてた。
泣き止むには時間がかかりそうだったから俺は、姉ちゃんが立ったままじゃ辛いだろうと思って姉ちゃんをベッドに座らせた。
俺もベッドの横に座った。
ベッドに座っても、姉ちゃんはずっと俺の胸に頭つけて声を上げて泣いてた。
まるで子どもみたいに。
俺はずっと、姉ちゃんの背中を擦ってた。

しばらくしてから姉ちゃんは落ち着いた。
泣き止んだ姉ちゃんは、顔を上に上げて俺を見つめた。
目が真っ赤な姉ちゃんは、両手を俺の首の後ろに回して静かに目を閉じてゆっくり俺にキスしてきた。
唇にキスしたら、今度は俺の目にキスしてきた。
俺が流した涙の跡をなぞるようにキスをした。

そのとき俺は姉ちゃんに対していやらしい気持ちはなかった。
でも俺は、姉ちゃんがあまりにも可哀想で、姉ちゃんがあまりにも必死だったから姉ちゃんに抵抗できなかった。
静かに俺にキスする姉ちゃんを見て、また少し泣けてきた。