初恋の教育実習の先生と魔法のどんぐりの思い出
中学1年の頃、教育実習生として1ヶ月だけ国語の授業をすることになった、ある女の先生がいた。
その先生は背が小さく、童顔でとても可愛い、ロリコンなら幼女と間違ってズタズタに犯してしまいそうな、そんなロリロリな美人さんだった。
まだ慣れてない授業におどおどしながらする姿はとても可愛かった。
もちろん男子からは絶大な人気を得ていた。
そして僕はこの先生が好きになった。
初恋だったと思う。
僕は国語の時間が待ち遠しかった。
楽しみだった。
好きな先生に会えるから。
ある日のこと。
昼休みが終わってチャイムが鳴ったと同時にガラガラとゆっくりドアが開き、先生が入って来た。
先生を見ると常に勃起する僕は勃起した。
先生はまたおどおどしながら授業を始めた。
なぜか僕を見ながら、「授業を始めます」と言った。
目が合うとドキッとした。
漢字の問題を生徒にやらせている時間、先生は突然、僕の横に来てそっと座った。
(いいいいい、一体どうしたのだ!!!???)
激しく動揺していると、先生は授業中のおどおどした様子とは打って変わった、とても優しい声で話しかけてきた。
なぜだ?
今まで話しかけてこなかったのに。
「さとる君、漢字は得意なの?」
「えっ、かかかかかかかか、漢字は漢字です」
「くすっ。緊張しなくていいよ。もっと柔らかくね」
まるで僕を誘惑するような言い方だった。
これから僕はクラスメイトの前で先生に犯されるのではないか?
そんな有り得ない妄想をして、ますます動揺する。
「ねぇ、私の授業分かりやすい?」
「ジュギョウ、ワカリヤスイ!」
「あははっ。ありがとう」
「ありがと!」
もはや会話になっていない。
先生はオウムと話しているような感じだっただろう。
「あのね、小学校の頃のさとる君、見たことあるよ」
「べ!」
「庭で友達とローラースケートしてたよね。あの時のさとる君可愛かったから、ずっとさとる君のことを覚えてたよ」
「なななな、なんで僕を見たんですか?」
「私、さとる君の親戚だから。おばあちゃんに用があって来たときに見かけたの」
次々と衝撃的なことばかり言ってくれるので、もはや気が触れかけていた。
「先生もクレオパトラよりカワイイです」
「くすっ、ありがとう」
「僕は男なのに、なんで可愛いんですか?」
「母性本能をくすぐられるっていうかね、なんか可愛いの」
先生は笑いながら微かに頬を赤くした。
周りの席の男子女子は呆然としたまま僕らを見ていた。
その後、眩暈を覚えながら国語の授業を受けた。
前の席の女子に、「動揺してたね」と言われ、まだ動揺してたので、「動揺してたね」とオウム返しした。
すると先生は、また心に激震が走ることを言った。
「今日で先生の授業は終わりです」
卒倒しそうだった。
放課後、その日だけは友達とは帰らず、1人でとぼとぼと歩いて帰った。
自転車登校だったのに、自転車のことを忘れていた。
失恋のショックは大きかった。
元気ないまま帰宅すると見知らぬ車があった。
(あれ、誰だろう?)
そう思いながら家に帰ると、なんと玄関に先生がいた。
「うひ!うひ!うひ!」
あまりの喜びに爆笑した。
「あっ、さとる君!」
先生は元気いっぱいに話しかけてきた。
「うひひひひひひひひひ!先生がいる!どうしたんですか?!」
かつてない笑いをこぼす僕を、さっきまで先生と話していた母は信じられないという表情で見ていた。
だが今は母なんかに構ってられない。
先生との最後の会話だ。
「今日で最後だから一目見たくて来たんだよ。もう遠くに行っちゃうからね、私」
「あっ、ど、どどどうもです」
「これあげるね」
先生はとても奇妙な人形をくれた。
一つ目のピエロで、どこか不吉な匂いを漂わせる恐ろしい人形だったが、先生がくれた物だからとても可愛らしい人形だと思うように努めた。
「ちょっと待ってて下さい」
僕は部屋に戻り、小学生以来鍵を掛けて厳重に保管していたどんぐりを取り出し、先生にプレゼントした。
「はい、魔法のどんぐりです」
「えっ、魔法?」
「空から降ってきたんです。このどんぐり」
今考えると、普通に木から落ちてきたどんぐりである。
背が小さくて馬鹿だったから、空から降ってきたと思い込んでいたのだ。
そして中学生になっても馬鹿は変わりなかったから、信じ続けた。
「そうなの!ありがとう」
「どどどどどどど、どんぐりです」
いきなり母が、感動のお別れの邪魔をしだした。
なんだ、大切な時にこの人は。
「あんた、腐ったどんぐりを先生にあげてどうするの?」
「だだだだ、だってこれ、大切にしてたから」
「いえ、嬉しいのでいいですよ」
先生は心底嬉しそうな顔をしながらどんぐりをポケットに入れた。
「ほんとねえ、この子、陽子さん(先生)のことを毎晩言ってたのよ」
「えっ、そうなんですか?」
「うん、もうね、よっぽど陽子さんのことが好きらしいの。『国語のテストで100点とって先生にナデナデしてもらうのが夢』とか、ねぇほんと。あはははは!馬鹿じゃないかしらこの子!」
母は家で僕が先生の噂をしていたことを暴露した。
僕は恥ずかしくて死にそうだった。
「へー。じゃあナデナデしてあげよう」
先生は「ナデナデ」と言いながら、赤ん坊をあやすように玄関で僕の頭を撫でてくれた。
勃起しつつ狂喜した。
「うひひひひひひひひひひひひひひ」
「やだあ。変態じゃないかしらこの子」
「そんなことないですよ。可愛いですよー」
「だでだでぼっどじでーーー(ナデナデもっとしてー)」
すでに理性は吹き飛んでいた。
そして・・・思い返すと死にたくなる。